第六居住区火災!
応急隊、艦が停泊中夕方から編成されるのが応急隊である。
艦に残る五六名が整列してポンプの試運転などを行う。
因みに副直士官の前に整列するとき。
ホヒー、ヒホー。おー! (小声で)きゅうたぃ・・・・・。と玄門当番がサイドパイプを鳴らして申告する。
上陸員整列の時は。
ホヒー、ヒホー。じょー! (小声で)りくいん・・・・・・。なぜか最後まで言わない。
話を戻してこの応急隊は近くの船の火事や、民家の火事などにも出動することがある。
なので普通の消防士に迷惑がられる事もある。
海自の人達は無謀に火の中に入っていく、と愚痴を言われるのだ。
仕方無い、そう言う訓練があるのだから。
建物が崩れるなんて思っていないのだ、私達が良くやる訓練は防火防水訓練だ。
陸上では丸タンクと機関室がある。
丸タンクは直径10メートル高さ150センチぐらいの大きな丸いタンクに薄く水を張り、そこへガソリンを入れて火を点ける。
するとゴウゴウと火柱があがるので、そこへ万能ノズルと言われている筒先を持った二人一組が水霧を吹き出しながら近付き、縁まで来たところで。
「右! 左! 右! 左!」とタイミングを合わせて左右にノズル付ホースを振る。タイミングを誤るとガチン! とノズル同士がぶつかることになる。
すると火が弱まった所で後ろに付いている班長がー。
「グースネック!」と言うので復唱してホースを上に持ち上げノズルを下にして残った火を消していく。
次に機関室だが、見た目は鉄筋コンクリートの平屋だが、中は迷路のようになっており通路や部屋は鉄製の網がひかれてある。
そこにも薄く水が入れてあり、今度は何と足下にガソリンが投入される。
私達の服装は一応防火服だが、厚手のゴワゴワしたフード付きの服だ。口にはタオルだけで息が出来なくなるから濡らすな、と言われている。
ガスマスクなどない、ただのタオルだ。
それで入り口からモクモクと黒い煙が上がる建物の中に入っていくのだから大した物だ。
三人組で交替しながら入って行くのだが私は何故か先頭を任せてはもらえなかった、うーん何故だ。
艦内ではもちろんガソリンなんか使えない、みんな「想定」で行われる。
しかしこの想定がおかしい、火災が起こる場所が固定されている。
火災が起こる場所は必ず隊員の居住区だ、士官室やその他が火災になったことがない。
まぁいろいろと面倒なのは分かるが、たまには違う所を火災にしても良いのではないだろうか。
あ、たまにではあるが寝過ごしていつの間にかベッドの周りが「想定火災」になったことがあるようだ。その時は何とか隠れることができたらしい。
艦内での火災の時はOBAというガスマスクを装着する。
今は銀色の服装で後ろにポンペを背負う形になっているみたいだが、私が居た頃はまだ厚手の真っ黒な服装に、胸の前にカートリッジを装着していた。
このカートリッジには下に差し込み口が在り平たいタンクをバシャン! と差し込むと酸素が発生する。
その酸素を吸って二酸化炭素をまたタンクに送ると又酸素が作られる仕組みになっている。
なので口元には吸い口と吐き出し口の二本のホースが付いている。マスク装着を確認するにはホースを握って息を吐く。
行動時間は大体四十分、カートリッジの横にねじ式のタイマーが付けられており時間が来るとベルが鳴る。
これは使うと熱を発するので使い終わったら速海に捨てる。
自分が吐いた二酸化炭素を使うのは大戦中の決戦兵器にあったね。




