私はあれに嫌われているのかも。
私は艦橋に居る間ほとんどが見張り員として左右ウイング、および後部見張りとしてずっと、ずっと海と空を見て来ました。
なのに、なぜか、どうしてか、見ていないのです。あの(たぶん)七色に光りながらあり得ないスピードと旋回角度で飛ぶ姿を! そう、UFOです。UFOなんです!
なので星空の間を飛ぶ人工衛星を初めて見た時は興奮しました、艦橋に、ゆーほーだ! と言って報告すると。
「あほ、衛星だ」と言ってそっけなく怒られました。
ああ、固定型の双眼鏡で見た月は綺麗だった。スバルなんか星の固まりだと思ってたら別名「悲しみの少女」と言うらしいですね。納得です、頬杖をついて俯く少女に見えました。
おっと、話がずれました。
兎に角私は一度も見たことが無いのです、こんなに愛しているのに。
だけどニアミスはあります、それと無理やりUFOとこじつけた時がありました。
先ずはニヤミスから。
あれは横須賀から佐世保に帰る航海中の事です。呉から帰る時は関門海峡を通るのですが今回は鹿児島沖を通ります。
鹿児島沖を通ったのは夜の八時ぐらいだったと思います。当時私は後部見張りでした、艦橋に繋がっている無電池電話を付けて後方を見張ります。なぜ後部見張りに付いていたのかと言うと当時私は魚雷員でした。なぜか「まきぐも」では後部見張りは魚雷員と決まっていたからです。
甲板掃除に続き巡検も終わったので見張りを阿久津海曹と代わり、夜食を食べに食堂へ向かおうとした時です、阿久津海曹が私にジュースを買ってくるように言いました。私は了解と言って食堂で夜食を食べて(焼きそばUFOマジで)ジュースを買って後甲板へと行きました、するとー。
「おおっ、何やっとったんだ。今まで艦の周辺をUFOが飛びまわっつてたんだぞ!」と興奮している阿久津海曹が居ました。
艦橋も大騒ぎだ、と話すのですが私は愕然としてしまつて詳しく聞くことができませんでした。
後に新聞でも取り上げられたようで、鹿児島上空に現れたUFOは南へ飛び去った。と記載されていて、その飛び去ったやつが「まきぐも」と遭遇した模様です。
私は悔しくて悔しくて、なんでもう少し待ってくれなかったのか! 私が見張りの時に現れなかったのか! ホントにもう、本当にもう! だよ。
次はUFOとこじつけたやつですが、私は幽霊船だと持っています。
では次へ。