最近整列やってる?
学校を出て乗艦して二ヶ月が過ぎると段々と気が緩んでくる。
我先にと居住区のコップを洗っていたのに、まあ後でもいいか。と洗わなくなったり、毎朝の体操に遅れて出て来たり(冬は六時半まだ暗いうちに外に出て体操を始める)ハッキリ言って体操の号令を掛けるのがイヤだったのだ。
私はアホだったので体操の順番を覚えていなかったから、できるだけ遅れて他の者に号令を掛けてほしかった。
ただ、こんなことをしていると待っているのは「整列」である。
整列する場所は分隊によって違う、やり方ももしかすると違うかも知れない。
1分隊の場所は前甲板である。時間は巡検が終わって夜食の後だ。
通常はサイドパイプ練習で終わるのだが、整列だとチョイと違ってくる。
まず海士が前甲板に整列した後、恐い兵長がのっしのっし、とやって来る。兵長というのは三曹試験に落ちまくり、ずっと海士長のままの海士の人だ。(最終的には私もそうだった)
「最近お前等、たるんどるぞっ!!」と説教が始まり定番の前支え(急降下爆撃機)が始まる。
これはハンドレール甲板の周囲を上中下と三本のチェーンが張ってあるので、中の所に両足を乗せて腕立て伏せの体制を取る。
別に腕立てはしないが、そのままの体制を維持しなくてはならない。数十分もしていると段々とお尻が下がってくる。
そこを見計らい兵長は「おら、腰が下がっとるぞ」と言って腰に足を乗せて踏みつぶす。
その他には海軍伝統の「ケツバット」がある。
学校にはそれこそ「精神注入棒」と書かれた棒があったが、艦ではバットである。
「お願いします!」
「ケツ出せっ」
「はい!」
スパーン
「クッ、ありがとうございました!」
「よし、次!」
となる。
以前にも書いたが、やり過ぎると焼けた甲板の上に正座。となってしまう。
本当に最近は無くなってしまったのだろうか?




