西海橋は心霊スポットらしい。
カッターの号令は他にもある。
カイ立て、カイ組め、カイ流せ、カイ上げだ。他にもあったと思うがー、忘れた。
「カイ立て」の号令が掛かると私達は思いっきりかいを下へと叩き付ける、するとテコの原理で平たい方が上に上がる。
さらに足を使って先端を踏むとカイは直立する。
この時カイの平らな部分を縦に揃えるのが肝心だ。
次に「カイ組め」は休憩するときによく使った。
カイを引き上げて隣の者の足下に差し込む、隣の者もそうするので真ん中でカイはクロスする。
「カイ流せ」はカイをはめ込んでいる窪みからカイを外して艇の腹に付けるようにする。
これをやるときに手を離して本当にカイを流したら大変な事になる。
「カイ上げ」は漕ぐのを止める時だ。
そうこうしているうちにカッターのイベントが行われた、一日掛けて西海橋への往復だ。
こう言うイベントの時はなぜかお昼に豚汁が出る、多分これも伝統だろう。
半日掛けて西海橋に行くと大村湾から外へ向けての海流が大きく近付けなかったが、私達の班長は熱血班長だ。
他の班が全部断念する中我が班長は「前へ!」の号令を掛けた。
私達は渦を巻く西海橋の下へと突き進む。
歯を食いしばり、ようやく橋の下まで行くと突然ー。
「カイ立て!」
私達は反射的にカイを立てた、するとー。
「手を振れ」
橋の上から観光客が私達に手を振っていた。手を振り替えしているとー。
「カイ戻せ、よーーーい!」
慌ててカイを倒して持ち直し、両手を前に突き出す。
「前へ!」
下がり掛けたカッターを又進ませるのはー・・・・・・。
班長はこれがやりたかったんだろうなぁ。
因みに大村湾の中に入ったのは私達だけでした、これができたのは皆漕ぎ方が上手かったからだ。
勿論私も含めて、・・・・・・嘘じゃ無いよ、ちゃんと班長に聞いたから私は下手では無いと。
一番最初に尻の皮がむけているしね。




