学校は今校舎が新しくなってるね。PX食堂のテレビで映画アリオンの宣伝やってたのを覚えている。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「はいどーもー、解説の和美お姉さんだよー。そしてー」
「僕は護衛艦の妖精しまゆき君さ、お姉さん今週はいよいよヺタク回だね」
「なにそれ、今週は江田島の第一術科学校の休日を解説するのよ」
「……あーそうだね、それも間違いじゃないよ」
「何よ、含みのある言い方ね。まあいいわ、始めるわよ」
「うん、先ずは朝からだね」
「そうね起床は七時ね、艦と変わりは無いわ。ただ食事はパンとチーズとかで簡単な物になるわ」
「へえ、艦だったら普通にご飯と味噌汁なのにね」
「良く分からないけど学校には四分隊調理担当の人が少ないか、又は居ないんじゃないかな」
「ご飯作ってるのは一般の業者ってこと?」
「ええ、なので缶詰やサンドイッチを自分で作れ、みたいな物が出てくると思うの」
「まあ学校だから仕方無いか」
「そして八時になったら国旗掲揚ね。それが終わったらその日の上陸員の整列が行われるの、同時に応急隊の整列もね」
「土曜に当直だった人達が休みになるんだね、それでその日の当直する人が応急隊として残るのは艦と一緒だね」
「陸上なんだから学生皆休みにすればいいのにね」
「そうはいかないよお姉さん。各曹士課程の内数人ずつが残るんだから三十人以上は学校に残るんだよ」
「あら、よく知ってるわね。でも勿論休みなんだから朝から何もすることが無いのよね、作者が書いているその日は七月の終わりか8月の初めのころだったから熱くて廊下に出て涼むぐらいしか出来なかったみたいよ。
しまゆき君は休みなのにずっと熱い中居住区にこもれる?」
「ぼ、僕には無理かな。当時クーラーは娯楽室ぐらいにしか無かったみたいだからね、喫茶店もあったみたいだけど休みの日は喫茶店も休みみたいだし何処にも行けないね」
「あ、喫茶店と言えば名物が油ぎとぎとのドーナッツよね、なんであんなにギドギドにするのかな。持っただけで油で手がベトベトになるのに。あ、ついでに喫茶店が作っているドーナッツの他にサンドイッチなんかが入れてある自販機知ってる? しまゆき君」
「えっ、そんなのあるの?」
「ええ、あったのよ。中が見える冷蔵庫タイプで五六段円形の棚があって、それがクルクル回るの。お金を入れると棚の一つが開いて中身を取り出せるのよ」
「へえ、夜に小腹がすいた時に便利だね」
「さて、いよいよ外に上陸した隊員が帰ってくるんだけど……、この部分は解説いらなくない? しまゆき君」
「えっ、ああそうだね。でも少しだけ解説すると隊員が持ち帰ったビデオは、うる星やつら2 ビューティフルドリーマー、で最近変則的な実写版も出るほど人気がある作者一押しのアニメ映画なんだ」
「しまゆき君、しまゆき君は聞き手でしょ? 最近なんか解説したがるわね、私の立場狙ってるの?」
「そ、そんなことはー、ないよ。僕はずっと聞き手だよお姉さん」
「今一瞬言いよどんだわね? まあいいわ、でも絶対解説の立場は譲りませんからねっ」
「だから解説なんかしないよっ。もう時間だから終わるよ」
「解説なんかとは何よっ!」
「あーもう、それじゃあみんなー、バイビー」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。
「あ、待ちなさいよ。しまゆき君とはちゃんと話さないとね、よし今日は居酒屋でトコトン話しましょ。勿論しまゆき君のおごりで」
「なんでそうなる……」




