おおっと、又々時間切れだっ。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「はーい、今週も何故なに自衛隊の時間がやって来たよー。私は解説の和美お姉さんだよー。そしてー」
「僕は護衛艦の妖精まー、しまゆき君さ」
「あっ、あーー! 今まきぐも君て言おうとしたでしょ」
「……言って無い」
「嘘、絶対言ったよ。認めなよし、ま、ゆ、き、君。誰にでも間違いってあるんだからぁ。グフフ」
「あーもう、言ったよ、言っちゃいました。認めるから、もうチャッチャと始めるよ。今週のお題は?」
「今週のお題はね、オタクネタよ。私そんなに詳しくないけど頑張るわ」
「チョット待って、一つ飛ばしてるでしょ。またやらかすつもり? 今週は学校の怪談ネタじゃないか」
「………お」
「お?」
「お疲れ様ー、いやぁ今週も濃かったね自衛隊ネタ。来週も頑張りましょう。じゃ、そういうことでー」
「いや待ってよお姉さん、まだぜんぜん終わってないよ、始まったばかりだよっ」
「放してしまゆき君、だから袖に噛み付かないで。今週は終わりなの、又来週なのっ!」
「お姉さん……怪談、嫌いだもんね」
「べ、別に嫌いってえ訳じゃ無いけど受け付けないと言うか、聞きたくないと言うか眠れなくなるし、夜おトイレに行けなくなるでしょ? だからイヤなの解説したくないのっ」
「なるほどね、分かったよお姉さん」
「えっ、本当に分かってくれたの?」
「うん、分かったからそれはそれとして解説は確りやろうか。仕事だから」
「えっ」
「だから仕事はちゃんとしないとね、お金貰ってるんだから。今月のバイト代いらないんだったら帰って良いよ」
「う、……それは、困る。お金、欲しい」
「だったら、始めようか。学校の七不思議的な解説を」
「うー、鬼! 鬼がこんな所に居たよぉ」
「何とでも言って良いよ、さあ解説を始めようか」
「クッ、コローー! もう頭来た、やってやろうじゃない解説をっ」
「クッコロって古っ、まあやる気を出したんならいいか。頑張れお姉さん負けるな幽霊なんか恐くないぞっ」
「うん、私頑張る。えっとぉ始めは夜中に行進する人達ね、これはあれねっ、夜中に居残り訓練している人を幽霊と間違えたのよ絶対」
「ええっ、いくら何でも夜中に行進訓練する? それもラッパ付きで」
「む、昔の人はやったのよっ! はい次、次は……松林の下に女の人が、こ、これは不法侵入者よ。きっと恋人が隊内に居るんでこっそり会いに来てたのね」
「また無理やりだね、女の人が夜中に侵入なんて出来ないよ普通」
「じゃあ……残留思念よっ、うん、女の人の思いが残っていたのよ」
「それって幽霊とかわらないよ……」
「つ、次っ! 次は大砲の上で手旗をする。だったわね、これはもう手旗の練習をしてたのよっ、間違いないわ」
「あんな展示されている大砲の上で? 高さも相当だよあれは」
「それかきっと何かの罰ゲームだったのよ、無理やり立たされたんだわ。はい次、次はー……」
「どうしたのお姉さん、次は赤ん坊の泣き声だよ」
「こ、これはきっと誰かが焼却炉の中で子供を育てていたのよ」
「んなわけあるかい! なめとるのかっこら!」
「な、なによっだったらー、しまゆき君はなんでだと思うの?」
「え、僕? えーと、きっと幻聴かーそうだ、風の音だよ。煙突が鳴ったんだよ、偶然赤ん坊の泣き声みたいに」
「そうよ! そうよね、赤ん坊を焼却なんてするわけないよね?」
「うん勿論だよ、するわけないよ。結論が出たところで今週はここまでだねお姉さん」
「ええ、それじゃあみんなー」
「「バイビー-」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。
「……しまゆき君も恐いのダメなの?」
「わ、悪いかよ……」




