好きでベテランになってないよっ。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「ド〇えも~ん、助けてよージャイアンがいじめるんだー」
「ど、どうしたの和美お姉さん」
「違うよ~、僕はの〇太だよぉ」
「・・・・・・だからね、いきなりオープニングを変えるのは止めてって言ってるでしょ?」
「え、そんなこと言ってた? まあいいわ。解説の和美お姉さんだよー。そしてー」
「ぼ、僕は護衛艦の妖精まきぐも君さ」
「さて、と、今週のお題はジャイアンよ」
「その前に『遠泳』について解説してよお姉さん」
「そうね、遠泳は江田島の伝統でずっと続けられてるの。だいたい江田島湾を一周するわ、五マイルだったかしら? 練習員は隊列を組んで海の中に入っていくのよ」
「教官達はボートで警戒しながら付いていくんだよね」
「そうよ、遠泳はゆっくり泳ぐから一日がかりなの、だから昼食も海の中で食べるのよ」
「泳ぎながら食べるのは難しそうだね、お茶も飲めないし」
「元の文にも書いてあるけどその為のネルフ、じゃなかったその為の竹竿なのよ。ボートの両端に付けられてるの、練習員は竹竿に掴まっておにぎりを食べるの。お茶はー要らないでしょ? 周りは水だらけだし、塩っぱいけど」
「それ海水だよねっ、飲んじゃダメなやつ」
「そんなこと言ってられないのよ、おやつの氷砂糖なんかは特別美味しいみたいよ。直ぐに沈むから拾うのが大変みたいだけど」
「あー、コイの餌付けみたいにばらまかれるそうだね」
「そして一日中平泳ぎなの、クロールとか海面から手を上げる泳ぎはやっちゃダメなの」
「溺れてる人と間違えるからだね」
「最終的に海から上がると足腰が暫く立たなくなるそうよ、泳いでる間気付かないけど一日泳ぐと結構疲れるみたいね」
「そりゃあそそうだよ、水の中でずっと手足の曲げ伸ばしをやってるのだもの」
「じゃ、次にこれの訓練中に起こった事ね。赤帽は最初はプールで泳ぐけどなれてきたら海に入るの」
「あ、いよいよジャイアンだね」
「そうよ、まあ学校の延長みたいなものだから、そりゃあいじめっ子も居るよね」
「でも海でそれをやられると命に関わるよ」
「いじめっ子にはそんなの関係無いわよ、命綱でも気軽に取り上げちゃうのがいじめっ子よ」
「それを又周りが何も言わないってー」
「仕方無いわよ、そんなことしたら自分の命綱を取り上げられちゃうじゃない」
「うーん、納得できないなぁ」
「まきぐも君は作者と違って健康な学生生活をおくったみたいね。幸せなことだわ」
「・・・・・お姉さんは最近作者と仲が良いみたいだね」
「うっ、そんな、仲が良いなんて、仕事の関係上以前麻雀したり一緒に飲んだりしただけよ。今はそんなことしてないのよ」
「へ、へー以前から、一緒に飲みに行ってたんだ。僕とは行って無いく・・・・・・」
「えっ、なに?」
「な、なんでもないよ。でも良かったね溺れなくて」
「何言ってるの実際溺れてるじゃない。助けられたけど」
「う、うん、助けられて良かったよ。それでそのいじめっ子は江田島を出るときも仕掛けてきたんだよね」
「それが作者が持っていたウオークマンを狙ったみたいよ」
「ウオークマン? あ、カセットの音楽聞くやつだね」
「CDの前はカセットが主流だったのよ。それをバスが出発する前に作者に貸してくれって言って来たの、フェリーの中で返すからって」
「あー、完全に取り上げるつもりだったんだね」
「作者は教官に預けていてまだ返して貰ってない、と言って難をしのいだそうよ」
「へー、流石イジメのベテランだね」
「作者はいつもどうやれば自分と自分の物を守れるかをずっと考えてたのよ」
「ああっと、いつの間にか時間オーバーだよお姉さん」
「大変、つい熱くなっちゃったわね。それじゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




