人の初体験をわざわざ解説しなくていいよ。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「や、やあ、僕は護衛艦の妖精まきぐも君さ。実は見ての通り解説の和美お姉さんが居ないんだ、実はさっきメールが来て・・・・・・。突然風邪を引いたので今週はまきぐも君に任せるから好きにやって、上手く出来たらご褒美上げちゃう❤ だってさ。はぁーーー」
「ビーー、ビビビーー!」
「えっ、はい分かってますよ、続けますから。全く先週はあんなこと言ってたくせに、きっと次の『私・・・初めてなの』の解説がイヤで来ないんだよ。僕も人のそれも男性の初体験の話しなんて解説したくないよ、ねえデレクターこれ飛ばして、お姉さんが来たときに回そうよ」
「ビビ、・・・・・・ビ、ビー」
「おっ、いいんだね? よしでは今週は『入れるところを間違えるな』を僕が解説するね。初めての解説なんで大目に長い目でみてよね。
はい、と言う事で解説を始めるよ、これはボフォースの実弾発射訓練の時のお話だね。まずボフォースについて解説すると爆雷にロケットを付けて遠くへと飛ばす武器なんだ。みんなは覚えてるかな? 昔の漫画で日本初の原子力潜水艦が秘密裏に就役して、その潜水艦が独立宣言する話しを。その話しの中で米海軍が潜水艦目がけてボカスカ落としていたのがボフォースだよ、当時米軍のくせに何で短魚雷やアスロックを使わないのだろう。と思ったものさ、おっと話しが逸れちゃったね。
話を戻してこの訓練は競技にもなっていて二十一隊のやまぐも、まきぐも、あさぐもで目標の一番近くに訓練弾を着弾できるかを競う訓練だったんだ。水雷長の腕の見せ所なのさ」
「対潜戦闘よーーい! ボフォース攻撃始め!」
「高速で走る艦の中、管制室に緊張が走る中ここで一つ目の間違いが発生するのさ。艦橋では目標との距離を正格に知る為、逐次目標の方位角、時間、距離を測っているのだけど。その為にCIC戦闘指揮所と連絡を取らないといけないんだ、その連絡手段が皆が使っている『無電池電話』なんだ。詳しくは又後で解説するけど、これはソケットを穴に差し込んで使用するんだ。だけどその穴は四個ほど一カ所に纏められていてそれぞれ違う場所に繋がっているんだ。これを間違うと混線するんだよ、普通はちゃんと確かめるんだけどね、この時は自分が間違えるわけが無い。と過信して確かめなかったんだよきっと。
二つ目は本編でも説明してるけど、『よーい、てぇ!』だよね。この時は目標が指定する方位に来たときの目標までの距離を測ったんだと思うんだけど、この時も勿論使っちゃってー発射位置じゃない所で発射したものだから全然違うところへと飛んで行っちゃったんだ」
「ビビーー」
「えっ、もう時間なの? そっかぁ僕うまく解説できたかなぁ。最後に、これでまきぐもは最下位になっちゃって水雷長の面目も丸つぶれになっちゃった。と言う話しなんだ。再発防止はー、どうしたらいいと思う? それじゃあみんなー、バイビーー」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




