悔しくて悲しい斬新な挨拶・・・・・・むずい。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「どもーー、みんな元気だった? 解説の和美お姉さんだよー。そしてー」
「僕は護衛艦の妖精まきぐも君さ。今週は普通の挨拶だね」
「最近いい挨拶が浮かばないのよぉ、ねえまきぐも君何かこう斬新な挨拶とか無いかなぁ」
「挨拶に斬新を求めたらダメだよ! 今日みたいに普通で良いんだよ、普通で」
「えー、そんなのつまんないよ。もっとこう皆が驚いたり悔しがったり悲しんだりする挨拶考えてよぉ」
「それ全部ダメだから、絶対悲しませたらダメだから! 大体挨拶でそんなことできないから」
「そんなことないよ、死ぬ気で努力すれば何でも出来るよ?」
「努力する方向がー・・・・・・もういいよ、今週の解説恥じるよ。今週はまた監視の話しだね」
「うん、じゃあ来週まで考えて置いてね。今週の話しはソ連の観測船が南から上がって来る話しね」
「えっ、待って僕が考えるの? 無理だよ無茶ぶりだよ」
「今回南から上がって来たのは観測船で武器を搭載した軍艦ではないのだけど、大小のレーダードームを沢山付けた艦だったのよ」
「えー無視? もう決定なの?」
「一応艦が例の如く接続水域ギリギリを北上して来るものだから、保安庁では無く護衛艦が対応したのね」
「あ、じゃあもしあそこに中国の軍艦が出て来たら護衛艦が対応するんだね」
「もちろんそうなるわね、そうならないことを祈るけど。話を戻してソ連の観測船は数日をかけてバルチック艦隊のように日本海へと上がっていくの、そして護衛艦は観測船と並走して付いて行くのよ」
「並走している間は何をしてるの?」
「何もできないの、朝の作動点検も禁止になるぐらいだから訓練なんか出来ないわね」
「うわ、そんなに気を遣ってるんだ。まあ並走している軍艦が砲塔やミサイル発射管を振り回してるのを挑発している、と勘違いされるのは仕方無いのかな?」
「うーん、そうかもね。監視続きで監視をしてなくても北朝鮮や中国、ソ連の商船とすれ違うときがたまにあるの、その時の号令が『情報収集用意』でね、この号令が掛かると写真を撮って絵を描いて船体に書いてある名前も書くの」
「確か専用の大きなカメラがあったよね。だけど何処に報告してどんなことが分かるんだろう」
「さあね、まあ色んな事が分かるんじゃない。あ、カメラはただ撮るだけなんだけど絵は急いで描く必要があるのよ。それと船名は双眼鏡を使って読み上げなきゃ読めないのよね」
「あー、すれ違ってからだと絵なんか描けないよね」
「だから早めに煙突を確認して報告しないとね、あ、一応煙突の種類が書かれた本もあったわね」
「ふーん、そんな本まであるんだ。あ、丁度良い時間だよお姉さん」
「あら、今週は時間が余らなかったわね。やっぱり最初の挨拶が肝心なのよ」
「まだ言ってるのお姉さん」
「来週の斬新な挨拶、期待してるわよまきぐも君」
「やだよ絶対に、そんな挨拶考えないからね!」
「と、言う事でーそれじゃあみんなー」
「「バイビーー」絶対だよ、絶対やんないからねー」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




