よおやく村へと。
「・・・・・・ん、あ、あれ?」
「知らない天井か?」
「・・・・・・まきぐも君、ここは何処?」
「スタジオの仮眠室だ、あれから五時間・・・・・・寝過ぎだ、ばかが。何か飲むか?」
「んんいい、それより番組はー、どうなったの?」
「途中までにしてもらった。まったく倒れるまで我慢するかね、あれからずっとー」
「ええ、夜になると現れて・・・・・・」
「そうか、すまない和美」
「なんで謝るの? 私の自業自得なのに」
「いや、無理やりにでも俺の村に連れて行くべきだったんだ」
「・・・・・・あ、まきぐも君に聞きたい事があったんだ」
「聞きたい事だと? なんだ」
「あの丸い球体が異次元の地球だと言い当てたそのー」
「花子か?」
「うん、その花子さんてどんな子? 電話の声は可愛かったけど」
「花子はー、今から八年ほど前に家の牛舎に捨てられていた子なんだ」
「えっ、捨て子だったの?」
「ああ、たぶんな」
「たぶんて、どういうこと」
「ああ、八年前のあの日俺が朝に牛舎に行ったら二三歳の女の子が裸で牛の乳を飲んでたんだ。そこはカギがかかる牛舎だったのに・・・・・・花子はそこに居た」
「幼い女の子をわざわざカギを開けて放りこんだってえことかな」
「そうかも知れないが・・・・・・、それだけじゃないんだ。花子には小さいが角があった、そしてお尻からはシッポが生えていたんだ。それも牛の」
「え、角とシッポって」
「それだけじゃない、当時何を聞いてもモーモーしか言わないんだ。今はちゃんと喋れるんだが、喋れるようになると何故か色んな予言とか的確なアドバイスなんかをするようになったんだ」
「信じられないわね、そんな子が居るなんて。病院へは連れて行ったの」
「もちろんだ、普通の人間だったよ。何処も悪いところは無い、ただ角とシッポがー、ああそれと十歳にしてはーいや、後は会ってみれば分かるさ」
「そう、なら早速明日にでもまきぐも君の村に行こうかな」
「ああ、歓迎するぞ。しかし戦闘員は連れてこない方がいいんだが」
「ばか、分かってるわよ。久しぶりにカエデともう一人にに会えるのね」
「もう一人ってお前」




