あ、また自衛隊のこと書いてない。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
いつものスタジオにまきぐも君だけがポツンと立っている。
「え、えっと始まりましたが見ての通り和美お姉さんが来ていません。連絡もありません。今までギリギリは何回かあったけど遅刻はしないお姉さんだったのになぁ」
「ごめんねまきぐも君、遅れちゃった」
「どわわっ! いきなり後ろから出てこないでよ! いつの間に後ろにー」
「いやー私も良く分かんないんだけど、遅れそうだったんで信号なんか無視して超急いでたんだけど・・・・・・、気付いたらスタジオに来ていてね。私ワープ使えるようになったのかしら? なーんてね。どうしたのまきぐも君? そんなに震えて」
「お、お姉さん、頭から血が・・・・・・」
「えっ、あらホント、どっかでぶつけたかな? まあそんなことより解説を始めましょ、確か銃を持った行進だったよね、まきぐも君」
「うん、そうだけど大丈夫なの? ・・・・・・どことなく透けて見えるんだけど」
「えっやだ、汗でブラがーって全然汗かいてないし、何言ってんのよ」
「いやそうじゃなくて、自分の手、手を良く見てよお姉さん」
「手を? ・・・・・・あらホント、少し透けてるわね。まあ気にしない気にしない、ほら早くしないと又時間が無くなっちゃうわよ」
「いやそうだけどー、えっ、ニュース? 緊急の? はい、ニュースが入ったようなので報道フロワーに切り替わります」
画面が切り替わり、後ろの方で慌ただしく仕事をしている人達を背景に女性のアナウンサーが原稿を読み上げる。
「番組の途中ですがここでニュースをお知らせします。今日午後三時頃、テレビ局前の十字路交差点でタンクローリーが若い女性に跳ね飛ばされました・・・・・・。これ間違ってない? え、マジで。し、失礼しました。えー跳ね飛ばされたタンクローリーは大破して運転手が重傷です。跳ね飛ばした女性は病院に搬送されましたが身元不明で頭にタンコブが出来ただけで気を失っているとのことです。
以上、報道フロワーからお伝えしました」
画面が元のスタジオを映し出す。
「・・・・・・お姉さん」
「あ、あれ? そっかぁ気を失って魂が抜けちゃったのね。でも流石私、事故に合ってもスタジオに入るなんて凄いと思わない? まきぐも君」
「思わねえよ! 何やってんだよお前は、早く病院行って生身で出直してこい!」
「う・・・・・・、でもこれって人身事故よね? でも相手の運転手重傷みたいだし・・・・・・」
「100パーセントお姉さんが悪い」
「そ、そんなー」
「ウダウダ言わず早く行け、覚悟を決めろ! 一緒に謝ってやるから」
「ホント? 一緒に謝ってくれるのね?」
「ああ、じゃあもう時間だから一応別れの挨拶するぞ」
「うん! それじゃぁみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。
「行ってくゅー!」
「待て、飛べるのかお前、じゃなくて病院の場所分かるのかー・・・・・・」