あー、俺には無理だー!
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
いつものスタジオに今日は和美だけががポツンと一人だけ立っている。
「みんなヤッホー、元気してた? 解説の和美お姉さんだよー。そしていつもはまきぐも君が居るんだけど今日は遅刻なのよねぇ、でも大丈夫よもう今控え室で変身しているから。もうすぐここに来るんじゃ無いかな」
ドタドタと足音を響かせながらまきぐも君惨状。
「ハァハァごめん、遅れてしまった。ハァ、にしてもこの体ハァ、走りにくいな、どうにかならないか?」
「今は無理ね、もう少ししたホバー機能とかが付けられるかも。でもまきぐも君今日はなんで遅刻なんかしたの?」
「マジかホバー機能! 飛べるのか。あ、遅刻したのは出がけに偶然アケミと会って、アイツ俺を見ると直ぐすり寄って来るんだよ」
「アケミ!?」
「そしたらそこに何故かカヨコとキミコが来て、俺を取り合ってケンカになっちゃったんだ。もう止めるのが大変で・・・・・・」
「修羅場! ・・・・・・まきぐも君いつもそんなお店行ってるんだ」
「店? 違うよ、彼女たちは店には居ないんだ」
「え、お水の人達じゃなくて一般人? さ、流石ねまきぐも君三人も。でもお姉さんはそーゆーのいけないと思います!」
「な、なに急に起こってるんだよ」
「普通起こるわよ、二股処か三股かけるなんて。女の敵よ! まきぐも君は」
「女の敵? ちょっと待て。何か勘違いをしてるだろ」
「なによ、まさか猫だと言うの? 猫をアケミとか彼女なんて呼んだりしないでしょ! 猫は水商売しないし」
「お、俺はー、僕は猫カフェのことを言ったんだよ。それと悪かったね猫に女の名前なんか付けて、三匹とも三毛猫なんで雌、なんだよ。な、なんだよ、そのあきれ顔は!」
「・・・・・・で、その猫ちゃんのケンカ、ちゃんと収めてきたの?」
「ああ、少し引っかかれたが目一杯なで回してやったんで三匹とも最後には仲良くなってくれたよ。いゃあ三匹とも甘噛みしてきたり舐めてくれたりでー」
「そう、よかったね・・・・・・。あ、そんなことより早く解説を始めましょ」
「そ、そうだった、お姉さん確か今週ははライフルを持っての行進の続きだったね」
「ええ、でも今からじゃそんなに解説できないかも」
「ああっホントだ、時間が殆ど無いよ」
「もう! まきぐも君が猫なんかにかまけて遅刻してくるからだよ」
「ごめんよ! でも今の問題は何を解説するか、だよ。ねえなにか無いの、短く解説出来るの」
「そんな急に言われたってー、短く短く-、あー! ダメよこんな短い時間で解説なんて」
「・・・・・・大丈夫だよお姉さん、そうこうしているうちに時間が来ちゃったから」
「あ・・・・・・、ねえまきぐも君本当に大丈夫なの? これでいいの?」
「今回は仕方無いよ、キッパリと諦めようよお姉さん。そして来週頑張ろうよ」
「そ、そうね。来週頑張りましょう」
「来週があれば・・・・・・」
「え?」
「いや、なんでも。じ、じゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。




