サブマリンはGと一緒?
私達の仕事(使命)は言わずと知れた日本の国土と国民を守る事です。
その一つとして「監視任務」というのがあります。
これは一定期間その海域に留まり、周辺に他の国の艦船が入ってこないか見回ることです。
私が乗艦する艦が参加したのは対馬海峡と沖縄、それと北海道です。
佐世保の艦艇は主に対馬海峡や沖縄周辺を担当するのですが、一度だけ冬の北海道へと監視に行ったことがあります。
これが無茶苦茶寒かった。北海道周辺は大湊が担当のはずなのに・・・・・・。
私達見張りには防寒着が支給され、外に立たされる。監視なので仕方が無いとはいえ酷すぎる!
一晩吹雪の中を航行すると艦上の構造物に氷が張り付いていて、キラキラ光り綺麗だったのを覚えている。3インチ砲の先端から氷柱が垂れていたし。
綺麗と言えば冬の北海道沖は空気が澄み渡り、水平線の向こうまでよく見える。
普通は水平線近くになると白い靄がかかるのだけど、北海道の水平線はそのまま青空なのだ。
天気の良い日は水平線から生えた様な、水平線の向こうに居る船のマストが見えるのだ。
別に「虹の橋」なんか無かった。分かるかな? 分かんねえだろうなぁ。
それはこっちに置いといて、領海を侵犯して来るのはなにも船だけではないことを私は知ることとなる。
その日も晴天で水平線の向こうまでよく見えていた、二本マストやY字マストがよく見える。
私は次々にそれを報告していく。
「マスト二本、右三十度、水平線、動静不明」(右の方にマストが二本水平線の向こうに見えるけど、どっちに向かっているのか分からない)
そして、それ、は現れた。
「マスト一本、右二十度、水平線、動静不明」
オレンジ色のマストが、まるで海中からニョキッと出ているようでした。
報告してから艦橋が騒がしくなった、
「右見張り(私のこと)、先程の目標もう一度確認せよ」
「了解」と言って私はもう一度双眼鏡を覗き込みましたが、オレンジ色のマストを確認することが出来ませんでした。
「確認出来ません、消えました!」
どうやら潜水艦の潜望鏡だったようで、ソナーが私が報告した方向に探知した様でした。
潜水艦を見つけると有給が一日貰えると言われていたので、私は貰い損ねたのです。マストと言わずに潜望鏡と言っていれば・・・・・・。
因みにGを一匹殺しても一日貰える、という話しもありました。