行進は意外と大変なんだよ。更新もだけど。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
いつものスタジオに和美とまきぐも君が並んで立っている。
「…ょつけーー! 回れー、右!」
まきぐも君が和美に号令をかけた。和美は右足を斜め左に引くと踵を立てて綺麗にクルリと回る。
「もう一度・・・・・・回れー、右!」
またまきぐも君が同じ号令をかけると和美も同じ様にクルリと回る。
「…すめーー!」
和美は足を肩幅に開き両手を腰の後ろで重ねる。
「フフッ、なんだかドリフのコントをやってるみたいね」
「ドリフって、何それ。ドリフト?」
「知らないのね・・・・・・。切り替えて、みんなぁ驚いた? 先週の続きで実際に号令をかけてみたわ」
「僕も驚いたよ、いきなり変な号令かけて欲しいって言ってくるのだもの」
「変だよ、初めのきょーつけぇ、もできるだけ『きょ』を発音するなとか、最後の休めも『や』を発音しないで『すめーー』って何だよ」
「あら、自衛隊ではそれが普通よ。それと私の回れ右どうだった?」
「どうだったって、・・・・・・うん、普通に綺麗に回ってたよ」
「ありがと、それはね脇を締めて両手がブラブラしないようにしてたからよ。どうしても遠心力で両手がブラブラしちゃうんだけど確りと体に付けると格好良く回れるの」
「へえ、そうなんだ。でも学校で教わったのと大分違うね、学校では踵で回ったりはしなかったよ」
「そうね、それが一番の違いかしら。さて、ここからはいよいよ行進に入って行くわよ」
「いよいよ歩き出すんだね」
「そうよ、行進は四列縦隊が基本なの、だから基準となる一番背が高い人を立たせてー。基準この位置、四列縦隊、別れ集まれ! と号令をかけるの」
「そうすると指定した場所に並ぶ事ができるんだね」
「整列した後は行進よ、先ずは列を整えてから左向け、左! で向きを変えるのそしたらー。ぜんたーい、進め! と号令をかけるの。この時行進ラッパが吹かれていたらちゃんとリズム良く号令をかけるのだけどこれが合わないのよ。変な所で『進め』と言うと出だしがバラバラになるの」
「あーリズム感が無いと無理だね。まあ兎に角歩き出したね、次は歩きながらの方向転換だ」
「動き出したら少し号令が変わるの、まず全体が縦隊に変わるの。縦隊右へー、すめ! ってね。すると右端の人が足踏みをして直角に曲がったら又歩き始めるの」
「あ、又出た変な号令。進めじゃなくて、すめ! なんだ」
「まあ短くした方がいいのよ、こーゆーのは」
「あっ、お姉さんもうそろそろ時間だよ」
「まあ! 今週は最初から最後まで解説したわ、これって初めてじゃ無い?」
「そうだね、凄いことだよ。これからもこんな風に出来ればいいね」
「いいねじゃないのまきぐも君、やるのよ!」
「き、気合い入ってるねお姉さん」
「まきぐも君知らないの? このところずっと視聴率が下がってるのよ、特に作者が出始めてから」
「あー、やっぱり。今度からできるだけ追い払うようにしなくちゃだね」
「でも作者だから意外なところから出て来たり、一人見つけたら隠れたところに十人居たりしないかな」
「それもう人間じゃ無いから! あ、はい、時間無いよ終わりの挨拶しようよお姉さん」
「そうだった、それじゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。