今回はホントどうなるかと思ったよ。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
いつものスタジオに若作り猫耳メイドと怪人なのだがどう見ても護衛艦の着ぐるみを着ているだけの、まきぐも君が元気に手を振っている。
「みんなー海上自衛隊を解説する可愛い女の子、和美和美お姉さんだよー。そしてー」
「僕は護衛艦の妖精まきぐも君さ! お姉さんゴメンね、先週急に休んだりして、心配かけたね」
「本当よ、今日も出てこなかったらまきぐも君のアパートに行く予定だったんだから」
「だから出て来たんだけどね、お姉さんは絶対僕のアパートで何かをやらかすから」
「えー、普通に催涙弾を窓から投げ込んでからドアと窓を蹴破って、まきぐも君を確保するはずだったのにー」
「どこが普通だよ! 僕の予感は当たっていたみたいだね」
「なによ、マストとレーダーが壊れたぐらいで引きこもっちゃってさ」
「ひ、引き籠もってないよ! 少し体調がー、悪かっただけ・・・・・・だよ」
「あらそうなの? だったらー」
「ああもう! そんなのはいいから解説、今日は何を解説するの?」
「えっ、今日の解説・・・・・・どうしようまきぐも君。今日はまきぐも君のアパートに行く予定だったから何も用意してないの」
「え・・・・・・、どうしようっていわれてもーそうだ! あの時途中で終わってた魚雷の解説しよう」
「もう・・・・・・魚雷の歴史から、とか言わない?」
「い、言わない、言わないからーね。えっと短魚雷が発射されてからどう動くのか、解説お願いします」
「・・・・・・フッ、やっと分かってくれたみたいね」
「えっ、何を? いや、分かったからお願いします」
「そこまで言われちゃあ仕方が無い、宜しい短魚雷の解説を始めます。えっとーチョット待っててね」
和美はクルッと後ろを向くと腕を組み、下を向いてウーーンと唸りだした。
「あ、思い出してるのね。早くしてお姉さん」
チーン、と音がして和美の頭上に電球の明かりが点る。すると又クルリと前を向く和美。
「な、なに今の音。それにその光」
「気にしないの、じゃあ始めるわよ。発射管から発射された短魚雷は予め海面に突入する角度から決められているの」
「あ、そんなこと言ってね。確か波に浚われる短魚雷もあるとか」
「波が高いと偶然にうまいこと波に乗っちゃうのよねぇ。波に運ばれている魚雷を見たときは信じられなかったらしいわ」
「その後その魚雷はどうなったの?」
「さあ、そこまでは書いてなかったなぁ。時間が無いので続けるわね、ちゃんとした角度で突入した魚雷は設定された深度まで潜ってから捜し始めるの、魚雷には何処から何処までの深度を捜しなさい、と予め入力されているの」
「走り回りながら捜すの?」
「いいえ、その場でクルクルと回りながら潜ったり浮き上がったりして捜すの。途中で目標を見つけたらそれに向けて走り出すわ」
「目標は無いことが多いんだけど、たまに短魚雷ほどの大きさの囮魚雷を海中に投入することがあるわ」
「それも発射管から打つの?」
「いいえ、この囮魚雷は木枠で作られた台から後ろを数人で持ち上げることで海中に投棄するの」
「へー、あっ、お姉さんまだ途中だけど時間になっちゃったよ!」
「あら、まだこれからなのに残念だわ。でも時間じゃ仕方無いわね」
「お姉さん・・・・・・内心良かったって、思ってるでしょ」
「な、なに言ってるの、ソンナコトナイワヨ」
「・・・・・・まあいいか、それじゃあみんなー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。