どっかに売ってないかなぁ。
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
スタジオのカメラの前に右手に、マペットのまきぐも君を付けた猫耳メイドの和美だけが立っている。
「ヤッホーみんな、元気だった? 実はねぇ見て分かるように、まきぐも君が来てません! どうやら引きこもりになっちゃったみたいなの」
和美は右手のまきぐも君を自分の方に向けると。
『まったく、大きいまきぐも君は困ったもんだね』
「そうねぇ、怪人になると幼児退行しちゃうのかしら。と、言う事で今回は私の巧みな腹話術でお送りします」
『宜しくー』
和美はうまく腹話術ができていると思っているが、実際は残念・・・・・・。
「それじゃあ小さいまきぐも君、今日のテーマは何かな?」
和美は右手のまきぐも君に問いかける。
『うん、今日のテーマは海自の中で発行している雑誌だよ』
「はぁい、そうです。でもまきぐも君今回は雑誌に掲載されている漫画がテーマなのよ」
左手でまきぐも君の艦首辺りをポーンと跳ねる。
『あーそうでした、ごめんなさーい』
「フフッ、いいのよ。それでね、この雑誌には二つの漫画が掲載されていたの。まず一つはプロの漫画家さんで、藤子F藤雄ダイブの丸っこいキャラを書く人で艦内生活のチョットした事故や注意事項をテーマに漫画を描いているの」
『へえ、面白そうだね。それって単行本とか出てないの?』
「そうね、単行本は出てないと思うわ。因みにどんなのが掲載されていたのかと言うとー。ある日海士が管制室で小さなネジを拾うの、その海士は何も考えずにそのネジをゴミ箱にポイと、捨てちゃうの。それを見ていた海曹が一寸待て、と言ってネジを調べると重要な部品だった。と言う話し」
『フーン、もしかして実際に起こった事を漫画にしているの?』
「そうかも知れないわね。そしてもう一つが少し特殊な漫画なの」
『特殊? どんな風に?』
「この漫画は漫画家が描いてないの」
『ええっ! 漫画なのに漫画家が描いてないの?」
「そうよ、なんとこの漫画は隊員それも魚雷員が描いてるたの。まあ漫画の方は昔の新聞四コマみたいなんだけど決して読み辛いことはなかったわ」
『へえ、隊員が描いてたんだ。で、どんなの描いてたの?』
「うん、こんなのがあったわねー。ある日ある海士長が警官から職務質問されるの」
『えっ、職務質問?』
「当時はやさぐれた人が多かったのよ。職務質問を受けたその海士長は当然海自の身分証明書を見せるんだけど、数年前の入隊したばかりの写真とは相当変わっていたので疑われる。と言う話しとかがあるわ」
『その漫画見たいんだけど、見たいんだけど!』
「いや、きっと無理でしょ。もう数十年前の話だし」
『そっかぁ。あっ、お姉さんもうそろそろ時間だよ』
「あら、そうね。次回は大っきいまきぐも君のアパートに突撃します。覚悟しててねまきぐも君!」
『それじゃあみんなー』
「バイビーー」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。