消えた訓練
装填訓練。
もう無くなってしまった訓練です。
それは大砲に自動装填装置が付いてしまったからです。
まぁ訓練と言っても「射撃」だけの訓練で他の「魚雷」とか「射撃管制」等には関係ないのですが。
「まきぐも」の3インチ連装速射砲は装填装置が付いていません、なので手で弾を押し込みます。
何キロぐらいあるのか忘れましたが決して軽くはありませんでした、ライフル(四キロ)よりは確実に重かった。
装填訓練は訓練用の装置が短魚雷甲板の第二煙突の後ろにありました。
そこに射撃の海士だけ集められます、六人程度ですが。海曹一人が指導役です。
この装置は速射砲の装填部分だけで構成されており、砂填弾を実弾の代わりに装填します。
砂填弾とは火薬の代わりに砂が詰まっている、実弾より多少重い。
装置は速射砲と同じ一段高い所に設置されており、一人ずつ装置の横に立つ。
「配置に付け! 装填用意」
「配置良し、(砲中を覗くマネをして)砲中良し!」
「装填!」
「装填!」
斜め下にあるマガジンから砂填弾を抜き取り、装填装置の短いレールの上に乗せる。
レールの先にはクルクル回るマガジンが在り、そこえ両手で弾を押し込むのだ。
他の海士は装置の反対側に立ち、出てくる弾を受け取る掛かりと下でマガジンに弾を補充する係です。
「うちーかた始めー!」
海曹が引き金を引くと装置のマガジンが回り出します。気合いを入れて弾を押し込むバシャン! と。
するとマガジンが下へ回り弾が反対側へ排出される仕組み。
気を付けないとレールの左側途中にあるポッチ(回っている最中に弾が入らないようにする)が出ている時に押し込んで斜めに弾が入り、装置のマガジンが神込んで止まってしまいます。
実射の時これを防ぐ為の訓練です。タイミングが悪いと直ぐに噛み込みます。
ただ、上手い人がやると反対側で受け取る人が間に合わなくなります。
でも・・・・・・、そんなに大量に弾を撃ったことがありません。対空射撃でも精々三発ぐらい?