べ、別に村でのことが定まってない訳じゃ無いんだからね!
「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
護衛艦の着ぐるみを着たまきぐも君と、黒猫メイドの和美がいつものスタジオに並んで立って手を振っている。
「ヤッホーみんなー、解説の和美お姉さんだよー。そしてー」
「僕が護衛艦の妖精ニューまきぐも君さ!」
「まきぐも君その大きさで妖精はないんじゃない? 私より頭一ついえ、二つ分は高いよ」
「う、うるさいな。それより先週は終わった途端にダッシュで逃げやがって、そんなに村でのこと話すのがイヤなのかい?」
「当たり前よ! ここは自衛隊のことを解説する『なぜなにじえいたい』なのよ」
「それはーそうなんだが、みんなに一ヶ月近く休んだ理由を知らせなくちゃ。それに僕が大きくなった原因も」
「うっ、うーん。でも私が説明する必要ないじゃ無い? まきぐも君がー」
「僕は解説を聞く係だよ、解説するのは和美お姉さん」
「なんか・・・・・・ずるい」
「ずるくない! さっ、サッサと始める」
「う、うん。でも話すにしても何処から話せばいいの?」
「そうだね、僕の故郷の村を見つけた所からぐらいかな」
「えーー! そんなところからぁ、あ、はいはい、分かりましたよ。そんな短い手でお尻を叩かないでよエッチ」
「し、仕方ねえだろこの手はこれ以上上がんねえんだから!」
「はいまた言葉、まきぐも君は大きくなっても全然変わらないんだから」
「いい加減にしないと僕の魚雷を撃ち込むよ!」
「キャ! 何処から魚雷を出すつもりよ。・・・・・・あーはい冗談だから、ほらいじけないで立ち上がってよ」
「いじけてなんかないよ、こうやって腹ばいになるのが僕の戦闘態勢なんだから」
「あ、そうねまきぐも君の背中には小型化した武器が並んでいるのよね。それでどうするの?」
「こうするのさ」
まきぐも君の背中にあるアスロックミサイルがモーター音と共に動き出す。
「えっ、なに私を撃つの? 冗談よね? まきぐも君」
「言ったろ? 魚雷を撃ち込む、お仕置きさ。なぁーに手加減するから死にはしないが少し痛いぞ」
「きゃー! 止めてまきぐも君なーんてね、えい」
和美に艦橋横を蹴られてまきぐも君は横倒しになる。
「わっ、お姉さん、何するんだよ! 僕は一人じゃ起き上がれないんだからね」
「フン、まるでカメね。フン!」
「グオッ!」
和美はトドメとばかりにまきぐも君の胴体を踏んだ。
「何か言うことは?」
「・・・・・・」
「言う事は! グリグリ」
「グガッ、やめ・・・・・・僕が、わ、悪かったよ」
「悪かったと思うなら?」
「ご、ゴメンナサイ」
「よろしい。あぁ、なんか目覚めちゃいそ❤ ウリウリ」
「あっ、止めて、こっちも目覚める、目覚めちゃうから!」
「えっ」
パッ、とまきぐも君から離れる和美。
「ハァハァ、あ、危なかった。あやうく快感を感じるところだったよお姉さん」
「そう、それは本当に危なかったわね。じ、じゃあまきぐも君を探し出した時の事をー、あ、もう時間だ」
「あー、まただ、又来週だよお姉さん。それと起こして欲しいんだけど。このままだとバイビーができないよ」
「いやよ、まきぐも君重いんですもの。私が帰るまでそのままでいて」
「そんなー」
「はい、それじゃあみんなー」
「「バイビーー」ううっ、惨めだ」
倒れたままジタバタとするまきぐも君。
ガタン、と終わりと書かれたフリップが落ちてくる。