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「3」「2」「1」「ドッカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
いつものスタジオに黒猫メイドの和美だけが立っている。
「みんなー久しぶり-、覚えていてくれたかな? ようやく番組を再開することが出来てうれしいです。解説の和美お姉さんだよ。そしてー……本来ならここでまきぐも君を紹介するんだけど、みんなも知ってるとおり、とおり……ウッ」
下を向き涙お流す和美。しかし意を決して前を向き。
「ごめんなさい。ま、まきぐも君は十年前のこの日に亡くなりました。命日に番組を再開することができ、とても嬉しいです」
「勝手に殺さないでくれよお姉さん!」
「はっ! この声はー、まきぐも君!? 生きていたのね」
「なにが十年前だよ、一ヶ月もたってないじゃないか! なんだよこの茶番は」
以前腕に付けていた護衛艦のマペットを大きくした着ぐるみが、のっしのっしと現れる。艦首下にあるソーナードームが頭の位置にあり、短い手足が付いている、艦体を背負っている形でハッキリ言って不格好だ。
「へへ、怒んないでよ。でもまきぐも君はその格好が一番ね」
「……本気で言ってるのお姉さん、これが悪の組織の怪人かな? 艦尾をシッポみたいに引きづってヨチヨチ歩くのが」
「まあ当分はこの『なぜなに』のマスコットキャラと言う事でーここはひとつ」
「納得いかねー。あのまま組織の首領になればよかった」
「なによ、まきぐも君も私の所の怪人になるの了解したじゃない!」
「あの時はこんな怪人にさせられるとは思わなかったからな!」
「やっぱりクチビル毛になりたかったの?」
「違う! 俺は元正義の味方でずっとヒーローを付け狙うー」
「そんなのまきぐも君の顔と体系じゃ無理よ。それに言葉、また変わってるわよ」
「ううっ、また顔と体系か……。お姉さんは僕にどうしろと言うんだい?」
「決まってるじゃない、このまま私とこの番組を続けるの。そうしたら爆発したり巨大化しなくてすむわ」
「や、やはりそれしか道はー、あ、そうだ、みんなに正義の村に行ってからの事話さなくちゃ。こんなに長く休んだ義務として」
「えー、面倒だよー、このまま魚雷の続き始めようよー」
「ダメだよ、和美お姉さんは解説が仕事なんだから。あの時の事をちゃんと解説してくれないと」
「う、うーん、それじゃあ……。正義村に関しては私とまきぐも君だけの秘密です♡ てぇのはー、はい、ダメですか、はい。あーーーっ! まきぐも君、もう時間よ」
「えっ、もう? そんなー」
「私が時間って言ったら時間なの。残念ね、また次回と言う事でー、せーの」
「あ、えっまっー「バイビーー」」
ガタン、と終わりのフリップが落ちてくる。