今日は会社の健康診断だったよ。
「3」「2」「1」「どっかーん!」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「みんなー、おはこんばんちはー。解説の和美お姉さんだよー」
「僕……護衛艦の妖精、まきぐも君……さ」
「あれー、どうしたのまきぐも君? 元気ないぞー」
「ハハ、しょうが無いよ。三日前から何も食べてないんだから」
「えーっ、なんでー、ちゃんと食べないとダメだぞっ」
「だ、だれのせいで、こんな事に…なったのか……」
「ちょっとまきぐも君、確りして! 寝たら死んじゃうわよ」
「ハッ、冬山じゃあるまいし、死にはしないがー、死にそうだよ誰かさんのせいで」
「まさか私のせいだと言うの?」
「そのまさかだよお姉さん。大盛りの焼肉定食食べたくせに無理やり回転寿司屋連れて行きやがって」
「まきぐも君、言葉、口調が変わってるよ」
「あ、いけね。兎に角寿司屋で三百円や五百円の皿ばかり沢山食べるんだものなーお姉さんは」
「えー、だって高いお皿は一個しか乗ってないから沢山食べちゃうんだよ」
「焼肉食べた後だからと思って油断したよ」
「フフッ、お寿司は別腹なのだよまきぐも君。でも、そんなまきぐも君の為にお握りを作ってきました!」
「お、おおっ! ホントか? うっそ~とか言ったら必殺技くらわすぞ?」
「なによ、さっきから目の前にあるでしょ?」
「えっ、もしかしてこれか? 空気が抜けた黒いバレーボールかと思ってた」
「まきぐも君の為に超特大のお握り作って来たのよ。偉いでしょ私!」
「お、……うん、偉い! 偉いよ和美お姉さん。本番中だけどいただくね、もうフラフラなんだっ」
「ええ、たーーんと召し上がれ。具も色々と工夫したんだぞ。フフッ」
「こ、こいつぁ食いでがあるな。ハグバクん! 赤いの出て来た、ンッグ梅干しか? 酸っぱくないぞ」
「あら、梅干しなんか入れてないわよ?」
「ん! これはー、イチゴだな」
「ピンポーン、正解。さあもっと食べて食べて」
「ポリポリ……、アーモンドチョコレートだ」
「またまた正解、どう? 意外と美味しいでしょ」
「ハグハグ……パリパリザクザク、ズズズズズ……。ンァ、ゲフ。長靴イッパイ食べられたから調子出て来たよお姉さん」
「食べるの早っ! もう食べたの? そうとうお腹空いていたのね」
「……腹が減ってなきゃ食べられた物ではなかったんだけどね」
「えっ、なんか言った?」
「な、何も言ってないよ。それより早く始めないと時間が―」
「あっ、しまった。もうこんな時間、今回解説をするのはー」
「あーホントもう時間がないよお姉さん!」
「えーちょっと待って、今回解説ー」
ガタン、と終わりのテロップが落ちてくる。