マジでどうする?
「3」「2」「1」「どかーん」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
「ヤッホー、みんな元気だったぁ? 解説の和美お姉さんだよー」
「(棒読み)ヤホー、僕は話を聞く護衛艦の妖精まきぐも君だよー」
「あれー、元気ないなーまきぐも君。どうしたの? ククッ」
「・・・・・・チョット卑怯な目にあってね、少し落ち込んでるんだ。気にしないで」
「なーんだ、そっかー卑怯な目ねー、まきぐも君も大変だねー。フフッ」
「クッ、何笑ってやがる、そんなことより先週の続き航海灯の解説を始めてよ!」
「キャ、はいはいそんな怒らないで。じゃあ早速始めるね」
「わーい、ありがとー四コ上の和美お、ね、い、さ、ん」
「・・・・・・そう、そんなことを言うのね?」
「ご、ゴメンナサイ若くてキレイな和美お姉さん。だから真顔にならないで!」
「まあいいわ、後でキッチリ話しを付けましょう」
「は、はい・・・・・・」
「それじゃあ先週に続いて航海灯なんだけど、ここからは見張り視点で話しを進めていくわね」
「み、見張りと言うと右見張りと左見張り、それに後部見張りだね」
「そうね、主に双眼鏡を装備している左右の見張りね。昼間は船が双眼鏡でハッキリ見えるので進む方向は直ぐ分かるの、慣れてくると相手の船から見てこちらの艦がどの方向に位置しているかも報告することができるわ」
「えっ、どんな風に報告するの?」
「貨物船一隻、右三十度、九〇、左へ進む、方位角、左四十度。この方位角が相手の貨物背から見た艦の位置なの」
「右の方から近付いて来るから要注意の貨物船なんだね。でも距離はどうやって測ってるの? 測定する器械とかあるの?」
「測定する器械は無いわ、でも大体艦橋から水平線までが約一万二千メートルと言われているの。だからそれを基準にして報告するの、でも水平線が靄で隠れていることが多いから、そんな時距離は水平線と言って誤魔化してるの」
「便利だね、水平線」
「でもそれが難しくなるのが夜なの」
「あー、夜は船の形が見えないからね」
「そうなの、満艦飾みたいに電球を船の形に添って点けてくれればいいんだけど、そうもいかないしね」
「なら夜の報告はどうなるの?」
「白灯一、右三十度、八〇、赤灯が見える。となるわね、赤灯は左舷灯のことで左へ進んでることになるの」
「水平線が見えないのに距離が分かるの?」
「もはや感ね、白灯の大きさや位置で大体分かるわ。一番気を付けなきゃいけないのが両舷灯が見えるときなの」
「両舷灯が?」
「そう、両舷灯が見えると言う事は真っ直ぐこちらに向かってきている、と言う事だから」
「あ、それは危ないね」
「あと左見張りが注意するのが青の右舷灯ね、距離が離れすぎると白灯だけで舷灯が見えない時があるのだけど、その時は動静不明と答えるの」
「どっちに動いてるのか分からない、てえことだね」
「そうよー、あっ、ちょうど時間ね。今回は二週にわたって航海灯をやりました、皆どうだったかな?」
「みんなも何か質問があったらドシドシお便り送ってね。それじゃー」
「「バイビーー」」
ガタン、と終わりのテロップが落ちてくる。
「ねえまきぐも君チョットいい?」
「き、急に何かな? お姉さん」
「来週は真弓お姉ちゃんと、育美ちゃんが見学に来るの」
「え、又来るのか! って育美ちゃんてー」
「そう、まきぐも君の妹の育美ちゃんが来るの」
「マジか!? お、俺の妹・・・・・・が」
「にやけるな!」
ゴスッ!
「グワッ! クッ、叩くなよ。べ、別ににやけてなんかー・・・・・・」
「ほら又!」
「わ、分かった止めろ、で、来るから何だって」
「う、うん、実はまだ何を解説するのかー」
「決めてないのか?」
「・・・・・・うん、どうしようか。何かあるかなぁ」
「まだ時間はある、後で話し合おうか。その・・・・・・、色々と」
「そ、そうね、色々と」