記憶がハッキリしない。
それは遠い記憶、微かにつながる記憶の糸。
私はー、私はウエーブ隊舎に入った事がある!
ウエーブとは女性隊員で、つまり私は女子学校に何かを探しに入ったのだ。
佐世保補給所の敷地内、地区病院の奥にその建物はあった。
そこは鉄筋コンクリートの三階建で、昭和の初期に建てられていて大戦を生き残った建物だった。
大戦中は何かに使われていたらしいが、何に使われていたのか知らない。
しかし造りは普通の学校と似たような造りで、昔の建物らしく階段の横幅が今の学校の倍はあった。
なぜ入る事ができたのか? それが良く覚えていない、何かを探しに入ったと思うのだが……。
しかし本題はそこではない、そう、そこでの出来事である。
私は階段を上がり二階へと、そして三階に上がろうとした時驚いた。
三階へと上がる途中の踊り場は全面べニア板で打ち付けてあるのだ。
通れないのか? と思ったら隅の方に人一人が通れるぐらいの板が外れる様になっていた。
なぜにべニア板? と思ったが私は板を外して三階へと入った。
そこは誇りを被った普通の教室で、呉の第一術科学校にもあった銀色のヒーターが窓側に並んでいたのを覚えている。
まあ結局ウエーブにあうことはできなかったのだが謎すぎる、なぜに三階をべニア板で封印しなくてはいけなかったのか。
それと誰と何を探しに行ったのかがハッキリしない。
うーん、古い建物でもあったしー、そーいえばべニア板に何か書かれていたようなー。お札とかは無かったとー、思う。