ごはん食べるから今日はここまで。の続き書いたよ。
バッ、カァーーーーーン!
「このアホ女! 何するんじゃーー!」
「私悪くない、悪くないもん! 悪いのはまきぐも君よっ」
うつ伏せに倒れている和美の右手の先からアスファルトに亀裂が入り、どんどん広がっていく。
ビルが倒壊して次々に亀裂の中へと落ちて行き、亀裂の奥からマグマが湧き上がってくる。
「そんな事より久しぶりに地球を別次元に飛ばすわよ! 早く和美こっち来なさい」
「えっ! そんなことしたらまきぐも君はー」
「クッ、流石は悪の秘密結社デストロイだな、これが狙いだったのかっ」
「当たり前よ、あなたみたいな正義の味方に付き合っていられないわ! さっ和美、行くわよ」
「待って真弓お姉ちゃん、地球……飛ばさないで!」
「どうしたの和美、あなたまさかー」
「ええそう、私まきぐも君を愛してしまったの!」
ドドーーーン!
「な、何だってー! ってちょっと待てーーい! なんだこのシナリオはっ」
「面白いでしょう? 私があなた達を見てさっき考えたのよ」
社員食堂の中三人は顔を突き合わせてシナリオの読み合わせをしていた。
「面白くねえ! 短時間でなんてもん考えやがる。おい和美お前からも何とか-、ん?」
「えへへ、そう私はー、まきぐも君のことをーキャー!」
「おいしっかりしろ、シナリオにのめり込むな。僕が分かる?」
右手のまきぐも君を和美の目の前でパクパクさせる。
「ん、キャ! まきぐも君。私ー……ごめんなさい」
「んー、けっこういいできだと思ったんだけどー、ダメ?」
和美から離れ対面に座る真弓にズッ、と顔を近づけ。
「ダメに決まっている、だいー」
「あー、それ以上近づかないで。でないと顔が映っちゃうよ? あの監視カメラに」
「監視カメラ? 食堂の?」
「そう、さっきからずっとあのカメラから視線を感じるんだ。絶対私達を誰か注目してるよ、分かるんだ私」
「まさかーいや、あのデレクターなら有り得る。マイクも何処かに忍ばせてあるかも」
「そーゆーことならおひらきだね、良かった、これからPTAの会議とバレーがあるの」
「PTA? 会議、バレー???」
「あ、お姉ちゃんね、小学生の女の子が居るの」
「ええっ! 嘘だろ? 小学生が小学生を生むなんて」
「なに言ってるの、小学生を生めるはずないじゃない。ちゃんと赤ん坊で生んでるわよ。それに……、あなたの妹でもあるのよ」
「えっ、今、なんて言った? 良く聞き取れなかったんだが……」
「あなたの妹だって言ったのよ! あなたのお父さんは私の旦那でもあるの。あら、そう考えると私あなたのお母さんね。いいのよ? 母さんって呼んでも」
「呼べるかっ! 俺の母親は一人だけだ、あのオヤジー、なんてことをー」
「し、知りませんでした。じゃあ私とまきぐも君は親戚?」
「そうよ、そして私とは家族、みたいなものよ! と言う事はあなたも、秘密結社の一員なの!」
「ば、バカな! 俺が悪の秘密結社の一員だと? ……しかし、そうなってしまうのか」
「昔からある事じゃない? 正義の味方が悪の道へ入る事が。まあ、ゆっくり考える事ね」
「グッ、俺は、俺はー……」
「あ、ヤダもうこんな時間。和美一緒に帰るわよ」
「えっ、でもー」
「大丈夫、ほっとけば復活するわよ。あの人の息子だもの」
「うん、あの人の息子だから心配なんだけどなぁ。それにー」
「それに?」
「真弓お姉ちゃんのカッコウどうにかなんない? 恥ずかしくて一緒に帰れないよ」
「あ……、和美もね」