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さーて、どーしたものか。

あと一人、あと一人。

 終わりと書かれたフリップの裏で声だけが聞こえる。


「そうか、親父は悪の組織でそんなことを・・・・・・」


「あ、あんまり気にしない方がいいわよ、あの時はけっこう仲良くなってたし」


「フッ、仲良く、か、そうだな、・・・・・・お姉さんと僕のように」


「そうそう、だから今後も一緒に神崎叔父さん達を捜しましょ?」


「親父達を? ・・・・・・いや、ダメだ。お前達悪の組織は完全に潰さなくては!」


 バン! と扉が開く音。


「その言葉に二言は無くて!?」


「誰だ!」「真弓お姉ちゃん、遅かったじゃない」


「ゴメン和美、警察とここの警備員に止められて遅れたわ」


「お前の姉さんなのか? だが・・・・・・どうも、初めまして。妹さんのパートナーまきぐも君をやらせて貰ってます」


「これはご丁寧に、妹がいつもお世話になっております。出素戸呂井真弓と申します」


「デス! 失礼ですがデストロイが名字ですか?」


「はい、恥ずかしながら秘密結社デストロイの女幹部をやってます」


 ここでパタン、と終わりと書かれたフリップが後ろへ倒れる。


 そこにストレートの白い髪を腰まで伸ばしたマント姿の少女の姿が映し出される。マントにはトゲトゲのショルダーガードが付いている」


 サッ、と衝立の向こうに立っていた人影が衝立の後ろに隠れた。


「どうしたの? まきぐも君」


「いや、あのカメラ回ってないか?」


「えっ、カメラはー。ね、姉さん」


 真弓はツカツカと歩いて和美の隣に立ち和美を見上げる。


「和美ちゃん! その格好は何? 猫耳メイドなんて着て良いのは十代までよ?」


「お、お姉ちゃんこそ何でそんな格好してるのよっ。まきぐも君もうなずかない!」


「私? 私は正義の味方が居ると聞いたから女幹部の正装を、と思ったのだけどボディアーマーを三年前の廃品回収に出してしまっていて、仕方無く外見が似ているスクール水着に残っていたアクセサリーやマントを羽織ってきたのよ。どう? 一応さまになっていると思うんだけど」


「だったら胸の5-2って書いてある名札ぐらい取ってきてよ!」


「あら、失敗失敗。ヨイショ」「い、今脱がなくていいから!」


「和美お姉さん、ちょっといい?」


「なに、まきぐも君」


 衝立の向こうを覗き込む和美。


「(小声)本当にお前の姉さんなのか? どう見ても小学生にしか見えないぞ」


「(小声)うん、見た目はーアレだけど、中身はもうすぐ三十路だから」


「だーれーがぁ、みーそーじーですってぇ!」


 黒いオーラを纏いながら腰に装備したロングソードを抜き放つ真弓。


「「ひぇええっ! ご、ごめんなさい!」」


 フーーッ、と息を吐きチン! とソードを収める。


「失礼、お二人とも言葉には気を付けましょうね?」


「「はい!」お姉ちゃん、気を付けます」 


「それでやっぱり、神崎叔父様の息子さんはそこのー」


「あ、はい僕です。もう十数年親父とは会ってませんが」


「そう、正義の味方を継いでいらっしゃるとか・・・・・・。

 フム、そうなると私共の組織と対立するご意思があると?」


「あ、ここでは何ですので下の社員食堂で話しませんか? 会社の外では警察が寄ってきそうだし、最悪僕が捕まる可能性がー」


「あ、このビルの食堂なら時々お姉ちゃんと似たような格好の人居るもんね」


「では参りましょうか」


「和美お姉さん、そこの一番カメラ止めてきてくれ。若しくはカメラの前に立っててくれ」


「いいじゃないの少しぐらい映っても。はい、いーよー」


 和美はカメラの前まで来ると胸をレンズに押し付けた。


「まきぐも君は護衛艦の妖精なんだ、そう簡単に正体は明かせない」


「へー、それ!」「わっ、何やってんだ!」


 和美がカメラから胸をずらすと、右手にまきぐも君を付けた大男が慌てて衝立の向こうに隠れた。


「アハハハハ、流石正義の味方、凄い瞬発力」


「・・・・・・分かった、もうお前等許さねえ。俺がぶっ潰してやる!」


「あー、ゴメンね? 今度はちゃんと隠すから。さ、急いで」


 和美はもう一度胸をカメラに押しつける。


「・・・・・・信用できるか! コンセントみたいなのがあるだろ、それを抜け!」 


「えー、私が機械に触るとたいてい壊れるんだけど・・・・・・」


 ゴソゴソとカメラの周りを弄る和美。


「これかな? エイ!」


 和美が何かのコードを引っ張るとバチン! 火花が散って画像が途切れた。

後一人で百ポイント!

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