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やっぱり「なぜなにじえいたい」かな?

「3」「2」「1」「ドカーン」


「わーい」「なぜなにじえいたい」


 スタジオで飛び跳ねる和美。


「はい! 今週もやってまいりました何故何自衛隊。解説の和美お姉さんだよ! ニャンニャン。そしてー」


「話を聞く護衛艦の妖精まきぐも君だよ。和美お姉さん今日はテンション高くない? 少し落ち着こうよ」


「ハァハァ、だって仕事があるって素晴らしいんですもの! ハァハァ」


「ほらもう息切れしてる、そんなに若くないんだからー。グッ、ギャ、痛ー、サンドバックみたいに叩くのは止めて! マジイテェ、何だよその拳は」


「引っ込むな! フン、余計な事は言わない様にね、まきぐも君。では先週の続きです」


「イテテ、さ、サイドパイプの続きだよね?」


「そう、今回はサイドパイプの吹き方から解説するわね。これが先週見せたサイドパイプよ」


 和美が胸のポケットから取り出したサイドパイプを目の前でブラブラさせる。


「あ、和美お姉さん、パイプの下に付いてる平べったい所に何かマークが付いてるよ」


「あらホント、何かAを基調にしたマークが付いてるわね。メーカーかしら?」


「知らないんだ、お姉さん」


「ウッ、し、仕方ないじゃない今気付いたんだから! 今日は吹き方だからいいのよ」


「はいはい、了解だよ」


「もう、……で、では持ち方からよ。まず手の平の真ん中に丸い鈴みたいな部分を置いて、パイプ部分を人差し指と親指でつまみます。そしたら包み込むように手を閉じてね」


「あー僕は手が無いからできないや」


「あー、妖精だもんねぇ護衛艦のぉ」


「グッ、なんか悪意を感じるよ。その言い方」


「そう? では次にそのままパイプを口の端へと持ってきて咥えます。真ん中に持って来ないでね」


「なるほど、だからサイドパイプって言うんだね」


「えっ、あ、あー口のサイドね、そうよ、そうなのよ。たぶん」


「適当に言わないでほしいな、和美お姉さん」


「いいから、それでそのまま短く吹けば『タンプ』という音になるわ。こうよ」


 和美がサイドパイプ吹くと高い音がスタジオに響く。


 ピーー! 


「わあ、結構響くんだね」


「まあスタジオだからね。これは主に五分前の号令で良く使うの、上陸員整列五分前とかね」


「あー、良く言う『五分前の精神』とかはここから来てるのかもね」


「それは五分前には何もかも済ませて用意万全で待機してろ、と言う意味ね。そして次がこれ」


 再び和美がサイドパイプを吹く。


 ホヒーーヒホ―――。


「今度はパイプを持った手を閉じたり開いたりするんだね」


「そうね、これは雑令といって最も多く使われる号令なの。あ、何の為に使うのかの説明がまだだったわね」


「あ、そう言えばそうでした。でももう時間なんだよね」


「ええっ、もう? だけどこれだけは言わせて、さっき吹いたのは佐世保での雑令なの」


「えっ、各港で吹き方が違うの?」


「ええ、私も良くは知らないんだけど横須賀ではこうよ」


 ホヒーーホーー。


「あ、間にヒが入らないんだね」


「そうよ、各港で違うのはこの雑令だけなの。たぶん」


「また多分?」


「うっ、兎に角、今日はこれで終了よ。次回はサイドパイプが何処で使われているか、からね」


「まあだいたい皆分かってると思うけど」


「じゃーねー、みんなー」


「「バイビーー」」


 ガタン、と終わりの文字が落ちてくる。


「あー、今日も無事終わったー。お疲れでしたー」


「お姉さん待って、組織の事、詳しく聞こうかぁ」


「あ、あれ~、まきぐも君口調が又変になっちゃってるわよ~」


「いいから、お前ん所の家族の能力から教えろ」


「えっ、か、家族? 家族はお母さんとお姉ちゃん、それと違う家にお婆ちゃんが一人……」


「ほほう、女系家族か。ならまず母親から教えろ」


「ええっ、そんなお母さんは普通のー、以前は厳しいお母さんだったけどー、いまはー、さ、さよーならー!」


 ドタドタと走り抜ける音。


「あ、待てこの野郎!!」


 少し遠くから。


「野郎言うなー、もう、次回ちゃんと説明するからー。こーいゅーのはぁちゃんと許可取らないとうるさいのー」


「許可? いるのか」

ありがとー! あと四ポイントで百だよー。


ウキウキ、ワクワク……。あ、あれ? 

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