うわ、続くなぁ。
「お前には姉さんが居るのか?」
「ウッ、うー、あっ! あんな所にチュパカブラがっ!!」
「なにっ! どこだ、おい、チュパカブラは? おいっ・・・・・・あ、また逃げられた」
『一週間後』
「3」「2」「1」「ドカーン」
「わーい」「なぜなにじえいたい」
テロップが上がりスタジオが映し出されるが、まきぐも君だけで和美が居ない。
「ヤッホー、なぜなに自衛隊のまきぐも君だよ。今日はまだ和美お姉さんが来てないんだ。あ、来た!」
トトトトト、と小走りで現れる和美。
「ごめーんまきぐも君遅れちゃったぁ、でも何とか間に合ったみたいね」
「間に合ってないよっ! それに外でタイミング計っていたでしょ」
「あ、バレてた? ハハ。んじゃあ気を取り直して4直の続きをー」
「おい、3度目は無いからな」
「え、えーー! なに言ってるのまきぐも君」
「えっ、僕何か言った? 空耳じゃ無いの?」
「う、うーっ、分かったわよ、今日は喋って良いって言われてきたから」
「へぇ・・・・・・、じゃあ始めようか4直」
「う、うん・・・・・・、えーと4直は朝の四時から八時まで、六時に皆が起きる十五分前が忙しかった気がするけど・・・・・・あんまり覚えて無いんだって。そしてー」
「えー、覚えて無いなんて無責任」
「まあ仕方無いんじゃ無いの、もう三十年以上前のことだし。そして平日はラッパで起こすんだけど」
「あ、起床ラッパだね。ぱっぱらっぱぱっぱら、ていうやつ」
「そう、だけど休日は当番が起こすの。「総員起」だからサイドパイプは後で説明するけどこの「総員」が付くと難しい吹き方になるから大変だったみたいよ」
「サイドパイプか、その時が楽しみだね」
「朝一番はみんなで海上自衛隊第一体操をするんだけど、冬場は寒いし暗いしおっくうになってたみたいね」
「あー、整列の対象だね」
「そうね、その後は配食が始まっていよいよ上陸員の帰艦が始まるわ」
「あ、母港に居るときだね」
「そう、艦には帰艦時刻が設定されていて、これを過ぎると罰せられるの」
「上陸止めとかだね」
「そうなんだけど、この帰艦時刻と言うのがくせ者で、これより三十分前に分隊の帰艦時刻が設定されてるの」
「あっ、艦の時刻を守る為にだね」
「そう、もし破ったら分隊の恥だからね。でもね、これより又三十分前に班の帰還時刻が設定されてるの」
「えっ! じゃあ1時間も前に帰艦しないとダメなんだ」
「これに怒ったのが堤二曹なの、ホント分隊の時刻ギリギリまで帰らなかったわね。俺はちゃんと分隊の時刻は守ってる! って言い張ってね、結局この主張は認められて大分緩和されたわ」
「ねえお姉さん、誰がまだ帰ってないって言うのは何で分かるの?」
「あぁそれはね、上陸前に上陸札を出していくの。カマボコ板に名前と部隊、それと右舷左舷どちらかが書かれているわ。朝になると分隊毎に分かれた札をはめ込む台があるから帰艦したらそれを取っていくの」
「へえ、それは幹部も?」
「いいえ、先任海曹と幹部は玄門に名前が書かれた小さ目の札がはめ込めてある板があって、表が黒で裏が赤い文字で書かれているの、艦に居るときは黒い文字、居ないと赤い文字なの。海士の当番がチェックしてひっくり返すの」
「なんか顔と名前覚えるの大変そうだね」
「うん、まあこんなもんかな。後は八時前に交替して旗を用意してから艦首の国旗を八時に揚げるの、そしたらー」
「そしたら?」
「当番新台と書かれた木の札を海曹と自分の物二つCPOから貰ってきて、午前中寝ることができるの」
「へー、午前中サボれるんだ」
「さぼるなんて人聞きの悪い、朝の四時から起きて頑張ったんだから、それぐらいわ・・・・・・ねえ」
「まぁこれで玄門当直は終わりだね」
「ええ、やっと終わったわ。次は何にしようかしら」
「あれ? お姉さんはその前にやることがあるんじゃない?」
「え、えーと、あぁ・・・・・・そうね分かっているわよ」
「じゃ、そう言う事で今日はここまで」
「「バイビーーー」」
ガタン! と終わりのテロップが落ちてくる。
「よーーし、それじゃあ話しを聞こうか」
「えっ、今日はもう遅いから来週にー」
「大丈夫だ、気にしない。許可は貰ったんだろ? 早く話せお前の姉妹のことなど全部」
「う、うん、じゃあ話すけど笑ったり正気を疑ったりしないでね」
「・・・・・・分かった、約束する」
「私の家系は代々特殊能力を持ってるの」
「えっ?」
「あ、私は普通だよ。少し体が丈夫なぐらいで、小さい頃その殆どを大お婆ちゃんに封印されたから」
「封印? いきなり意味が分からん」
「んで、私がまきぐも君のことお姉ちゃん達に話しちゃったから・・・・・・あんなことになったとー」
「分かった、そのお姉ちゃんのことは来週聞こう。なんかクラクラしてきた」
「う、うん、それが良いと思うよ」