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しまゆき救急隊

 護衛艦「しまゆき」での話しです。


 この時「しまゆき」は練習艦「かとり」と遠洋航海でフィージィーからハワイへと向かう航路にいました。


 その日は朝から対潜戦闘訓練、午後から防火放水訓練となっていたのですが突然訓練中止となったのです。


 それは緊急信号から始まりました、小さな島にヨットに乗り家族で遊びに来ていた家族の一人が椰子の木から落ちで腰骨を折ってしまい、病院へ緊急搬送! となったのですが、その島には病院も無く滑走路もありません。小さなヨットではスピードも出せず揺れも酷い、折ったのが背骨と言うこともあり振動をなるべく与えられない。

 


 そこで付近にいた「しまゆき」に白羽の矢が立ったのです。


 ガスタービンがキーーーーーーン! と高音を出して「しまゆき」第1戦速で走ります。


 半日掛けて島の周辺へと到着です。


 ここで問題が起こります、島の港まで内火艇で行く予定だったのですが、初めて行く場所なので航路などが分からず断念、仕方無くHS2B型ヘリを使う事にしました。ヘリの振動は問題ないとされたようです。


 「しまゆき」からヘリが発進して怪我人を迎えに行きます。


「椰子の木から落ちるなんて間抜けな野郎だ」

「訓練を邪魔するとは(ありがたい)何て奴だ」

「あ、帰って来た」


 ヘリ甲板で話しているとヘリが戻って来ました、私達はヘリから降ろされる担架を医務室まで運ぶため集められていました。


 フワリと、ヘリが甲板に着陸しました。私達はヘリが固定されると担架を下ろすために駆け寄ります。


「よぉし、ゆっくりだ。振動を与えるなぁ」


 大声で士官が指示を飛ばします。


 担架に固定され、不安そうな青い目で私達を見るのはー、ブロンドの長い髪。


「こっ、これはー、なんてことだ。野郎なんかじゃ無かった」


 中学生ぐらいの可愛い女の子でした!


 女の子が付き添いも無く一人で護衛艦に乗り込んで来たのです、あぁ、知らないアジア人に囲まれて不安そうな顔がまた良い! 


 でも木から落ちるなんて結構なお転婆のかも知れない。


 私達は担架を取り囲み持ち上げようとしますが、小柄な竹下海曹が右から左へピョン、と少女を飛び越えた。


 その時私は見てしまった、彼女の目を。あんなに不安そうにキョロキョロしていた目が竹下海曹に固定されてしまった、いや見るだけじゃ無く睨み付けている! どうやら猿のような黄色人種が自分の上を跨がったことが逆鱗に触れたらしい。


 ヘリ甲板から医務室に運んでいる間も彼女はジッと竹下海曹を睨んでいました。


 相当頭に来てたんだろうなぁ。


 その後一日掛けてハワイへと「しまゆき」救急隊はひた走り、またヘリで病院へ飛んで行きました。


 その間訓練は中止で、ずっと寝てました。いゃあ、楽で良かったなぁ。


 今頃あの子はどうしていのかなぁ・・・・・・。

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