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木人が住むクロバーの里へ
梟が満月を背にして小窓に止まりボクに話しかけた。
『さぁ、私と、ともに行きましょう。』
するとボクの体はファ~と宙に浮き
やがて小窓の方へと誘われた。
ふと、後ろを見るとベットでスヤスヤと眠るボクがいる。
宙に浮いているボクとベットで寝ているボク。
どちらが夢なのか現なのか…………
幼い今のボクの理解を越えた出来事。
梟は、やがて黒いドレスで装った貴婦人へと姿を変えた。
ボクの手を取り、ともに空を舞う。
月明かりで貴婦人の顔が見えた……
上半分を梟の仮面で覆っている。
ボクの方を振り向く時、口許の口角が上がっていた。
『お母さん?……まさか』
風に乗って流れてくる甘い香り。
これは確かに母のもの。
貴婦人はボクの手を引いて鬱蒼とした森の上空に止まった。
あそこが、あなたが来るのを首を長くして待つ木人が住むクロバーの里。
幸せを呼ぶ王子が、かならず里をルビー.ハートの魔手から守ってくださると。