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戦い 二

「リョウ!」

 シーザーだ。湖からシーザーが頭を出している。

「ワンワン(シーザー、おまえ無事だったのか?)」

「シーザー、ブジ! ホラアナ デタラ ココニキタ」

「ワンワン(シーザー、俺達を背中に乗せてくれ! 怪物に追われているんだ!)」

 シーザーが湖面に背中を出した。俺と佐百合は、あたふたと背中に飛び乗る。

「カイブツ?」

「ワンワン(ああ、あそこにいるシャコ野郎だ!」

 シーザーが怪物を見た。

「ギャオー!」大声で怪物を威嚇する。

「ワンワン(よせ!)」

 遅かった。

 ヘビ野郎を抱きかかえ嘆いていた怪物が、俺達を見た。ぬめぬめとした体が真っ赤に輝く。

 まずい!

「きさまらーーーーーー!!!!」

 怪物が物凄い形相で俺達を追って来た。

「ワンワン(逃げろシーザー!)」

 シーザーが勢いよく泳ぎ出した。

「よくもヘータを殺したな。八つ裂きにしてやる」

「殺してないわ。気絶させただけよ」

 佐百合が怒鳴り返す。

「死んでるぞ、死んでるんだ。おまえら、ヘータを殺したんだ!」

 怪物が凄まじい勢いで泳いでくる。

「ワンワン(シーザー、急げ!)」

 シーザーの体が右に大きく傾いた。

「うわあー」

 俺達は湖に投げ出された。 

 くそー、怪物め、シーザーの尻尾を掴みやがったな。

 シーザーが水中に引き込まれる!

「シーザー!」

 水中に落ちた俺はシーザーの姿を探した。

 いた!

 シーザーは身を反転させて、怪物に噛みつこうとしていた。だが、後少しで届かない。

 逆に怪物がシーザーの長い首を掴もうとしている。シーザーが怪物の腕に噛みついた。怪物はもう片方の腕でシーザーの頭を殴ろうとした。しかし、見えたのはここまでだった。

 俺は佐百合に水中から引き上げられ頭に乗せられた。平泳ぎで泳ぐ佐百合。前方に小さな島が見える。

「良ちゃん! 大丈夫?」

「俺は大丈夫だ! それよりシーザーが」

 俺達は島にたどりついた。佐百合が咳き込む。

 ザバーッとシーザーと怪物がもつれあったまま、湖面に顔を出した。

「ワンワン(シーザー、怪物の頭だ。頭の金属を取るんだ)」

 しかし、怪物がシーザーの体を抱き込み、触手で攻撃している。

 シーザーは怪物の頭を狙ったがうまくいかない。

 血を流すシーザー。

「やめろ、やめてくれ!」

 俺はたまらず叫んだ。しかし、怪物は容赦しない。怪物はシーザーを水の中から岸へ連れて行こうとしている。

「こいつを殺したら、次はお前達の番だからな」

 シーザーを攻撃する怪物。だが、シーザーは血を流しながら怪物の頭に噛みついた。はちまきのように巻いてあった金属板がひきちぎられた。

「ワンワン(シーザー、よくやった!)」

 俺は岸辺にいるジャレスに向って叫んだ。

「ジャレス、金属板がとれたぞ!」

「ジャレス! 金属板が取れたわ!」

 俺達は声を限りに叫んだ。ジャレスのいる場所までは遠い。湖岸にいたら、或は聞こえているかもしれない。

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