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さよなら、セレリン

 翌朝、俺は書記官カスケルの元へ行った。

「あのさ、昨日の事で話があるんだけどさ」

「何か?」

「セレリンに罰を与えるっていう話が出てるみたいだけど」

「そうです。あなたを危険な目に合わせたのですからね。そうですね、鞭打ち10回といった所でしょうか」

「ええ、鞭打ち! それはひどい!」

「しかし、そうやって罰を与えないと他の召使いに示しがつきません」

「それよりさ、責任を取るって形でいいからさ、彼女を海辺の家に返してやってくれない?」

「なるほど、仕事を取り上げるのですね。ですが、今回の罰としては大き過ぎますね。あまり、大きな罰を与えるのも」

「いや、ただ辞めさせるんじゃなくてさ、海の家に返して、彼女に漁をやって貰うわけ。で、彼女の取って来た魚や貝を屋敷で買い上げてほしいわけ。つまり、配置転換だな」

「なるほど。屋敷から追い出すという罰を与えるが、収入は保証するわけですね。あれ? 彼女はあなたの夜伽の相手ですよね。ああ、彼女がお気に召しませんでしたか?」

「いや、そうじゃなくてさ、俺は彼女を気に入ってる。気立てのいい子だし。だけど、彼女とはその、きれいな関係のままなんだよ」

「は?」

「つまりね、彼女は死んだご主人を忘れられないでいるの。それを無理やりやってもだな。俺も嫌だし、彼女も気持ちよくないだろ。だから、彼女がその気になるまで待ってたんだけど、彼女の家に行ってわかったよ。彼女はすごーく死んだご主人を愛していてさ、子供と一緒に暮らしたいと思ってるわけ。セレリンには無理なんだよ、俺の相手は。彼女は自分の子供の将来を心配して、俺の相手に志願したんだろうけど、彼女絶対無理だから」

 カスケルが細い目をハの字にする。なんだかよくわからないんですがという顔になった。

「つまり、彼女が責任を取るという形で、俺の相手から外して家に返してやってほしいわけ」

「ははあ、なるほど。それなら、あなたの相手から自然と外せますね。あなたが気に入らないという理由だと、セレリンは自分に落ち度があったのではと悩むでしょうからね」

「うん、だけど収入が無くなると困るだろ。そこで、彼女の取った貝や魚を屋敷で買い上げてほしいわけ。それなら、彼女と子供、お義母さんも暮らしていけるんじゃないかな」

「なるほど。いい考えです。そのように手配しましょう。ああ、それと、次の女性も探しておきます」

「よろしく!」

 良かった。これで、セレリンは息子と一緒に暮せる。

 しばらくして、セレリンが俺に挨拶に来た。これから海の家に帰るのだという。

「あの、いろいろとありがとうございました」と言って頭を下げる。

「俺としては残念だけど、君は海で漁をしていた方が生き生きしてた。戻った方がいいだろう」

「おかげで息子と暮らせます。結局、手料理を食べて頂けませんでしたね。それが残念です」

 セレリンがはにかんでいる。可愛いなあ。

「いいってことよ。じゃあ、元気でな」

 何度も振り返っては頭を下げ、屋敷を去って行くセレリン。

 胸がおっきくって、俺好みだったんだよな。やっぱり、押し倒して無理やりやっときゃ良かったかな。いやいや、赤詐欺師としては女に惚れさせなきゃな。


 その夜、新しい女の子が来た。女の子というより、立派な大人の女性だ。

 女性の名前は、サララ・リチエ。職業は兵士、主に弓をよくするらしい。やっぱり、寡婦だそうだ。

「えーっと、君も子供が欲しいの?」

「子供を授かれば、息子を医術学校に行かせてもらえるというお話でしたので。では、早速」

 サララは、さっさっと服を脱いでベッドに入った。

「何時でもどうぞ」

 色気もなにも無いんですが。

「あのさ、君もだんなさんがいたならわかるだろう。さあ、やりましょうって言われて出来ると思う?」

「主人とは、いつもこんな感じでした。寝床を供にすればいつでもという感じで」

「あ、そう。あのさ、こういうのって、雰囲気が大事なの」

「はあ?」

「ま、いいや、取り敢えず、一緒に寝てみようか?」

 俺はサララの隣に潜り込んだ。サララの体は筋肉質だった。がっちりした筋肉がついている。

 胸をなめてみた。顔を見ると目をしっかり閉じている。しかし、感度は良さそうだ。舐めるうちに体が反応し始めた。俺の方もなんとなくその気になって、なんとなく人間に戻った。

 人間に戻った姿を見て、サララが喘ぎながら言った。

「ふつうの(ハアハア)、いえ、顔の(ハアハア)、よい男で(ハア)、良かった」

 はいはい、女にとって男の顔は重要だもんね。


 その夜、俺はサララを美味しく頂きました。

 

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