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革職人のおじさん転生したらドワーフだったので最高の武具を作ります。  作者: 爆裂超新星ドリル


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第26話「合同合宿の計画」

「なあ、テイル?お前たちって同士討ちってないんか?」

コウジはバカでかい革の半裁を作業デスクに運搬中のケンタロスに聞いた。

「ほら、冒険者たちってモンスターを討伐するだろ。クエストの張り紙にはケンタロスやハーピィやゴブリンなども一応含まれてるからさ、疑問だったんだ」

単純な質問は合宿を企画してるコウジにとって聞いておかねばならない質問だった。

「ああ、確かに俺らもモンスターですが、冒険者が討伐するモンスターと我々は違いますね」

かみ砕き説明した。

「師匠には理解しがたいかもしれませんが、冒険者が狩るのは言葉を話さないモンスター限定です。俺らは一応知能がありますから、喋れて思考するモンスターと何も考えることのできないモンスターでは全くの別種という風に見てます。きっと他の種族も同意見だと思いますがね」

そういいながらピピにでも聞いてみたらどうですかと提案されたので、コウジは同じ質問をする。

「ピピ、言葉を話さないモンスターは全くの別種だとテイルが話してたが、そういうもんなのか?」

コウジは聞くと、ピピは失礼しちゃうわという感じで不満そうだった。

「全く違うわよ。あのハーピィたちは人間に催眠を掛けると思うとみだらな性欲で誘うのよ、もはやハーピィじゃなくてサキュバスなんじゃないかって思うほどよ」

コウジはなるほどと顎に手をあえて、ピピに礼を言った。



午後ドリノが訪ねてきた。

「コウジさん居ますか?」

ドリノはコウジにバリアントの伝言の手紙を渡した。

シーリングスタンプの蝋を剥がし黒いインクで書かれた文字を読んでいく。

「先日は不甲斐ない弟子の助けていただき感謝申し上げます。まだ病状が回復し切ってないため、手紙での御礼であること勘弁していただきたい。一週間後に合宿を開催しようと考えてますが、いかがでしょうか?詳しいやり取りは、弟子のドリノを扱き使ってもらって構いませんので、日程など調整させてもらえれば光栄です。」バリアントの文字はキレイな筆記体でまさに職人として素晴らしい文字だった。

「ドリノ、少し工房の奥で待っててくれるか?すぐに返事を書く」

ドリノは工房内へ入り、コウジの弟子たちと戯れながら作業を眺めていた。

コウジは作業台とは別の書斎の椅子に座り、羽ペンを手に取りインク壺にペン先をつけて手紙の返事を書きだした。

「拝啓、バリアント様。」

筆は思いのほかスラスラと進んだ。


「ドリノ殿の件は職人として当然のことをしたまでです、そこで合宿の内容について提案なのですが、狩りを行いそこで採った革を鞣し、革の学びの場にしたいと思ってます。テーマは「命」です。私どもも生命をいただき、その副産物として皮革をいただいてる身です。だからこそ、今後私どもの弟子にも職人として倫理観を育てて行かなければと思っています。詳しい日程や催しについて後ほど鳩使い送りますので、ドリノ殿にお気を使わなくても結構ですよ。良い合宿になるよう私も精進いたします」


ドリノがコウジの手紙を手にバリアントのところに戻って数時間

万族工房の定時がに差し掛かった頃、鳩が手紙を運んできた。

どうやら、バリアントからのようだ。


「さっそくのお返事感謝いたします。回復するまでもう少し安静にさせていただきたいので、合宿の催しはお任せしてもよいですか?合宿場では存分に活動させてもらいますのでよろしくお願いしたく思います」

バリアントからのメッセージを受け、さっそく準備に取り掛かった。





一週間後。合宿の日が到来した。

天気は快晴。突風もなく過ごしやすい天気だ。異世界に四季があるのかはコウジはいまいち分からなかったが、夏に差し掛かる手前くらいの気温だ。おおよそ25度くらいだろうか。

合宿の場所は森だ。別名、初心者の森。冒険者になりたての低ランカーはまずこの森で実践を積む。

この場に居るものは、バリアントとドリノ、そして、万族工房の主のコウジ、弟子たちの蜘蛛人シルフィ、若手赤毛ドワーフのボルド、ゴブリンの少年ギギ、エルフのリリア、ケンタウロスの青年テイル、ハーピィの少女ピピの六人の弟子の他に初見の顔ぶれが2人見えた。

どちらも人間族だ。ハンター帽子に軽装備の革鎧。足元も革のブーツで身軽な動きを行える格好だ。重装備ではない。

「紹介する、こちらの2人は冒険者ギルド「千の山」のメンバーで狩人の二人だ」

二人は会釈した。首からぶら下げているのは銀のプレートで中堅冒険者のようだ。

低ランカーはみんなブロンズのタグで、銀、金、ときて最高ランクが虹色だ。

片方は女性もう片方は男性だ。どちらも成人しているが若い、黒髪のロングと黒髪短髪。

年齢は20歳くらいだろうか。男性が肩にかけている弓は大きく身長が細身の彼に弓を引くことができるのか怪しいとすら思った。女性の方は男性よりも小さい弓で、近距離から中距離の獲物を狩るためだが、男性のは長距離特化という形に思えた。

二人は似た様な体系で兄妹だという。


コウジはどこかで、その男の弓を見たことがある気がした。

「もしかして、その弓、和弓ではないですか?」

そう聞くと、うなずき答えた。

「まさしく、タツミの弓は和弓です」一人称を自分の名前で話す彼は、どことなく日本のオタク文化を彷彿とさせて懐かしい気分にさせた。

「この和弓は祖父の形見でして、私がそれを継ぎました、サトも扱ってみたいようですが、長距離は苦手分野のようでサトの弓は中距離までの弓になってます」

コウジの頭に浮かぶのは、やはりこの質問だった。

「もしかして、祖父という方は転生者では?」

タツミはその質問の意図が分からなかった。祖父だし、世代が離れているせいなのかと思ったが、さらに質問を重ねた。

「日本という国をご存じで?」

「いえ、わかりません」

コウジは地面の土に木の棒で日本国旗を描いた。色は付与できないので口頭で伝える。

「このデザインを知りませんか?周りが白で真ん中の点が赤色なんですけど」

タツミはサトと目配せをするが分からないようであった。

「祖父の書物など実家にあるのであとで、お持ちしましょうか?」

その提案に図々しくお願いを加えた。

「あの、その祖父が暮らしてた家に伺うことはできますか?」

タツミは10秒ほど考え込み、後で家のものに聞いてから返答すると言われてしまった。初対面なのに図々しかったかと自負していたが、反省した。


コウジは気を取り直して、合宿の概要をみんなに伝えた。

「今回の合宿は実際にモンスターを狩って、鞣して、作ってもらいます。モンスターを仕留めるのも一苦労だと思うし、加工も材料が限られているので、いつもよりも出来栄えが悪くなると思うが、今日はそんなことは気にせず合宿を進めてくれたらと思う」

コウジは狩人の二人に目配せして続きを語った。

「狩なんて全くの初心者だと不安に思うかもしれないが、その為に冒険者ギルド千の山のメンバーが助っ人にいるので頼ってほしい。無論、俺も素人なのでお世話になります」

そう話し、グループ分けが始まった。人選を選ぶのは狩人の二人だ。

「まずは、二つのチームに分けようと思う。大人数で山に入っても、獲物は逃げてしまう恐れがある。なので5、6人のグループで片方ずつ山に入ろうと思う。」

タツミの指示で第一班の人選が完了した。

「コウジ、タツミ、シルフィ ボルド ギギ ドリノ」

ドワーフ二人に、人間族二人、蜘蛛族とゴブリン族だ。

第二班は「コウジ、サト、リリア、テイル、ピピ」

コウジはどちらも参加する。第二班はドワーフ、人間族、エルフ、ケンタウロス、ハーピィだ。

ドリノのお師匠のバリアントは病み上がりで、片腕も負傷しているため待機ということになったが、狩人に渡され魔道具、写し見の手鏡で第一班の状況がタツミの一人称視点で映し出されるという。

要はバリアントは監視役みたいな感じだ。何か不測の事態が起きたときのコウジとは別の監督役だ。

コウジの号令で第一班が森へ足を踏み入れる。

「では、バリアント殿行ってきます。サト殿もなにかあれば、弟子らをお守りください」

「お師匠、お気をつけて、みんなも頑張ってね」

ボルドやギギたちはガッツポーズをして山へ入っていった。

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