第8話 1人目の獲物⑤
次の日、珠凛は指定したアパートにやってきた。俺は全裸で待つ。
「じゃあ、よろしく」
部屋に招き入れると、俺はただそう一言。
何度も珠凛の身体を使い、仕舞いには何故か珠凛からキスをされた。
俺のファーストキスは、珠凛に奪われてしまった。
毎日抱くようになって4日目くらいだろうか。珠凛は俺の上で腰を振りながら、俺の頭を抱きしめて言った。声が震えている。
「蒼空くん。ごめんね。ごめんね。ごめんね……」
……これ、きっと本気で謝られてるよね。
そのうち、珠凛がビクッとした。
「……イク…」
しかも、俺が奉仕させられてるじゃん。
珠凛は俺の上で息を切らしている。
「これじゃ、どっちが性奴隷か分からないんだけど……」
珠凛は恥ずかしそうに俯いた。
「次は、すぐにイカないように頑張るから……嫌いにならないで……」
「いや、むしろ初期値が嫌いなんだけど」
ここはビシッと言っとかないとね。
「そっか。仕方ないよね……」
珠凛は明らかにテンションが下がってしまった。
「あと、前から言おうと思ってたんだけどさ。この家の中に徐々にお前の物が増えてる気がするんだけど……」
いつのまにやら、部屋に珠凛の勉強道具や縫いぐるみやらが設置されているのだ。コイツ、近いうちに転がり込んでくるつもりなんじゃないか……?
「いや、それは。色々取りに帰るのイヤだし」
「お前さ。自分の家が嫌いなの?」
「嫌い。あの人がいる家は嫌い。あの、ね。聞いてくれる?」
「いや、なんか。別に知りたくないしイイヤ」
俺にはわかる。
聞いたら、確実に可哀想な話が飛び出してくる。だから聞かない。情が湧いたら困る。
俺は珠凛を押し倒して、足をひろげた。
こうして見ると、顔も可愛いし、いい身体してるよな。胸も大きいし。あっちの具合もいいし、何より従順だ。良い手駒だ。
これなら壊すよりも。
今くらいの関係で手元に置いておく方がコスパいいんじゃないか?
「な、なに? ……恥ずかしいんだけど」
珠凛は顔を両手で隠した。
「頭隠してなんとやらだな」
すると珠凛は股間を隠した。
「蒼空くん、イジワルすぎ」
「イジメてるんだよ」
「イジメるなら、違うイジメがいいんだけど」
なんか調子が狂う。
あ、コイツならあの時のことも色々知ってるよな。
「俺の半ケツ騒動の時って、首謀者はお前だったの?」
「いや、面白そうって言ったのはウチだけど……」
コイツ、やっぱり重罪じゃねーか。
すると、珠凛は言葉を続けた。
「あ、でも、でもね。言い出したのは斉藤だよ? なんか蒼空くんのことデブだから臭くてムカつくって」
斉藤……、斉藤 瞬。
櫻狼ファイブの1人。
野球部のエースだ。
次のターゲットは、決まりだな。
どうやって崩すか……。
ってか、早速だが珠凛を使うか。
ハニートラップが一番コスパがいい。
なにせタダだからな。
俺は珠凛を眺めながら言った。
「お前さ。俺のためなら他の男とセックスできる?」