第56話 4人目の獲物⑤
彩葉のブラがあらわになった。
「んーっ!!」
彩葉は手足をバタバタして声を出したが、俺は躊躇なくブラをずり下げた。
ぷるんとして真っ白なバスト。
サイズはEくらいか?
顔だけじゃなくて、身体も極上だ。
俺は彩葉の乳首に吸い付いた。舌でつついていると、乳首はやがて硬くなった。
「乳首、立ってるんだけど」
目隠しをされている彩葉に、あえて指摘した。すると、彩葉は呻きながら顔を左右に振った。
そのまましばらく続けると、彩葉は暴れるのをやめた。気づけば、彩葉の息遣いは荒くなっていた。
「んっ……」
呻き声も甘くなっている。
男嫌いなのにな。
どうやら、身体は勝手に反応してしまうものらしい。
さて、お次は……。
俺は、足のロープを解くと彩葉の足を思いっきり開いた。ロープがなくなったのに、彩葉は観念したらしく、されるがままだ。
(彩葉の美しい顔が、屈辱で歪む様子が見れないのは残念だけど)
俺は彩葉のパンツを引きちぎった。
あらわになった彩葉の股間からは、糸が引いていた。
(へぇ、こっちも反応するのか)
俺はガチャガチャと意図的にベルトを外す音をたてた。そして、カバンに隠していた大人の玩具を右手に持つと、彩葉の股間に触れるか触れないかくらいの距離で、ペタペタとあてがった。
「なぁ。お前の初体験。残念だけど大嫌いな俺になっちゃいそうだな?」
俺はカメラをセットして録画を開始すると、彩葉の口のガムテープを剥がした。彩葉は口をパクパクさせた。声がなかなか出ないようだ。
「……許…して。なんでも言うこときくから……。男にやられるなんて、絶対にイヤぁぁぁ!!」
(どうやら、俺のモノで犯されると信じきっているらしい)
「じゃあ、謝れよ」
彩葉は一瞬ためらったが、ごくりと唾を飲み込んでから口を開いた。
「月見里さん。ごめんなさい」
「謝る相手は、俺じゃないだろう!!」
「陽葵さんも、珠凛さんも、ごめんなさいぃぃ……!!」
「あとは?」
「なんでも言うこと聞きますから。男にやられるなんて絶対イヤなんです……」
俺は右手にグッと力を入れる真似をした。
「やめて……」
彩葉はその言葉の直後……失禁した。
目の前には、ゆらゆらと湯気がたっている。
「あーあ。漏らしちゃって……。じゃあ、手始めに。俺が喜びそうなことをしてよ」
俺が唇を近づけると、彩葉からキスをしてきた。俺が顎をひらくと、舌をいれて、口の中を丹念に舐め回してくる。
よし。良い感じだ。
これは彩葉にとって、生き残るための行為。そこには男も女も関係ない。
……あとは最後の仕上げか。
これがうまくいかずに警察に駆け込まれでもしたら、俺はかなりヤバいことになる。
最悪の場合、失禁動画で脅すつもりではあるが……。
俺は彩葉の目隠しをとった。
そして、目を見つめてから抱きしめた。
彩葉の目は真っ赤だった。
「な。彩葉。お前が俺の言うことを聞くなら、俺はお前を助けてやる。まだ怖くてよく眠れないんだろ? 屋上にあがると足がすくむんだろ? お前をイジメた全ての人間から、俺が守ってやるから」
彩葉は頷くと、ポツリと言った。
「……颯からも?」
「あぁ。っていうか颯は、お前に頼まれなくても再起不能にしてやる」
すると、彩葉は涙をポロポロと流して、何度も頷いた。
俺が彩葉の担任から聞いた中で一番酷いイジメ。それは、他の子へのイジメを強要されたことだった。
ある日、彩葉は、いじめっ子グループに屋上に連れて行かれた。そして、屋上の柵の外の縁に、泣きながら立っているクラスメイトを目の当たりにした。
イジメっ子のリーダーは、その子を指差して言ったのだ。
「彩葉っち。あの子を突き落として。そうしたら、アンタをイジメるのはやめてあげる」
彩葉は、躊躇いながらも、仕舞いには、その子に手を伸ばした。
これはイジメグループが面白半分で思いついた遊び。「彩葉っちがあの子を落とせば、わたしらは罪に問われないゴッコ」だ。
すんでのところで教師が介入して最悪の結果は免れたが、……彩葉は、今でもその時の夢を見るらしい。
颯は、この事を知っていて、彩葉のウィークポイントを利用したのかも知れない。
なにはともあれ、これでもう彩葉が俺を突き出すことはないだろう。追い詰めに追い詰めて、謝らせて。俺の彩葉へのリベンジは終わったのだ。失禁動画なんて、使わないで済むなら、それにこしたことはない。
樹兄の言った通りだ。
…………。
……。
あれは訓練も終盤にさしかかったある日。樹兄は、いつも通りに俺を見下しながら言った。
「おい、ブタっ。リベンジはいいけどな。そのあとはどうするんだ?」
「後のことなんてどうでもいいんだけど……」
「はぁ? お前はアホか? 俺はボランティアで稽古をつけてる訳じゃない。都合のいい奴隷を手に入れるためだ。せっかく育成した奴隷が逮捕されたら、労働力不足で困るんだよ!!」
「そんなこといったって……」
「そんな愚かなお前に、俺が便利なテクを教えてやる。追い詰めた相手がお前を好きになる裏技だぞ? 有料級だからな。よーく聞いておけよ。それは、人間の心理状態……ストックホルム症候群の意図的な作出だ。人はな……」
ストックホルム症候群。それは、被害者が加害者に対して好意を持つ心理状態だ。これは、極限状態でも生き残りたいという生存本能と、憎んでいる相手に媚びている自分という矛盾から生じた認知的不協和が大きな理由となる。
彩葉が父親を毛嫌いしていたのは、家庭内ストックホルム症候群の典型的な例だ。この話を聞いたとき、俺は彩葉をコントロールできる可能性に気がついた。彩葉は、父親からの無条件な愛情に自信がないから父親を遠ざけ、同時に、絶対的な救済を求めていた。
だから、極限まで追い込み、最後の最後で犯さなかった。これで、彩葉は俺に助けられたと感じたはずだ。そして頃合いを見て、「良い子だね」と優しい言葉をかけて脳の報酬系を刺激した。
理屈で考えれば、俺は加害者に他ならないが、彩葉の脳は俺を愛すべき救済者と誤認する。
現に、彩葉は今、俺の横で一生懸命にシーツを片付けている。俺は、そんな彩葉の肩をトントンと叩いてこう言うのだ。
「服、ごめんな。これ。彩葉に似合いそうな服を選んだんだけれど、着てくれるかな?」
俺が紙袋を渡すと、彩葉は笑顔になって、紙袋を大切そうに抱きしめた。そして、さっそく着ると、くるりと回って見せてくれた。
「似合う……かな?」
「すげー似合ってるよ」
「……そっかぁ。良かった」
「あと、ほっぺ痛いんじゃないか? ごめんな」
「ううん。わたしがいけないことをしたから。叱ってくれてありがとう」
(いま、彩葉の中では、彼女が望んだ父親との関係が再構築されている)
彩葉は安堵したような表情になると、ゆっくりと唇を近づけてきた。今度のキスは、彩葉が望んだものだ。しばらく小鳥のようにチュッチュとして唇を離すと、彩葉は幸せそうな顔をした。
「初めてのキスが、男の子となんてビックリだよ」
彩葉はそう言うと微笑んだ。
今の彩葉の認知は歪んでいる。俺が紙袋を予め準備していたという不自然さにも気づかない。そんな彩葉には、敵である俺が、頼もしい味方に見えている。
……当面は、それで良いと思う。
これで彩葉もいくらかは、悪夢から救われるだろう。
彩葉のイジメの話を聞いた時、俺は泣きそうになった。復讐はするが救いたかった。だからこれは、わがままな俺が望んだ結論なのだ。
……全ては計画通りだ。
もしかすると、俺は。
颯なんかよりも、ずっとタチの悪い化け物なのかも知れない。
東宮戦まで終わりました。さて、颯戦はどうなることやら……。本作を楽しんでいただけしたら、ブクマや下記の★★★★★で応援いただけますと嬉しいです(*´꒳`*)




