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第11話 2人目の獲物③

 俺が体育館裏にいくと、既に珠凛は倉庫に連れ込まれていた。俺は外鍵を閉めると、カメラの準備をして、換気口から中を覗いた。


 すると、斉藤は、俺が準備した小袋を開けたところだった。斉藤は中身を確認すると、小袋をポケットに入れた。


 よし……。

 小袋は捨てられていない。


 斉藤が声を荒げた。


 「珠凛、これを『わたしのきもち』って言ったよな? ってことは、これは合意ってことだよな?」


 珠凛に渡した小袋の中身は、ある錠剤が入った小箱とコンドームだ。コンドームは、斉藤の頭の中で夏美から聞いた噂話と結びつき、この後の斉藤の行動を決定付けるはずだ。


 斉藤は珠凛を押し倒すと、上着を剥ぎ取った。珠凛はブラがずれ、胸が半分露出した。


 スカートもめくれ上がり、珠凛のヒップが丸見えになった。俺がパンツを履くなと言ったからだ。


 「なにすんだよ!!」


 珠凛は足と手で、必死に抵抗している。



 斉藤はズボンを下ろした。


 「珠凛、おまえマ◯コ丸見えだぜ? 噂通りのヤリマンだな。これから起きることは、全部お前が悪いんだからな」


 これで、斉藤の理性は完全に壊れただろう。


 途中でビビって思いとどまられたら台無しだならな。二重、三重に言い訳を準備してやった甲斐があるってもんだ。


 「やめろよ!! 蒼空くんが助けにきてくれるんだから……うぅ」


 パチンッ!!


 斉藤は、珠凛に思いっきりビンタをした。すぐに珠凛の頬が真っ赤になった。珠凛の全身が恐怖で強張っているのが、ここからでも分かる。


 「蒼空? 月見里やまなしのことか? あんなザコブタがくる訳ないだろ!! 来たってボコるだけだ」


 「そんなことない。蒼空くん、強いもん。言わないだけで強いのウチ知ってるもん!! ウチのこと大切にしてくれるし、絶対、きてくれるもん!!」


 バチンッ。


 斉藤は珠凛の言葉に激昂し、再びビンタをした。その衝撃で、珠凛の小さな身体が弾き飛んだ。



 すると、珠凛は抵抗をやめた。


 「……好きにしたらいいじゃん。ウチがやられて、蒼空くんの役に立てるなら別に良いし……。好きにしたらいいじゃん。そんなことしたって、ウチの心は手に入らないし」



 その様子をみていて、俺は思い出した。


 あぁ。そうか。

 悪夢に怯えた俺を抱きしめてくれた時、珠凛はこう言ってたんだ。

 

 「蒼空そらくん。怖いの? ウチがずっとずっと……守ってあげるからね」


 あぁ。そうだ。

 俺は何で、その言葉を忘れていたのだろう。


 あぁ。そうだ。

 俺は何で気づかなかったのだろう。


 珠凛が優しくなったのは、身体が繋がったからじゃない。心が繋がったからだ。


 珠凛はずっと、犯されそうになっている今も。

 あの小さな身体で俺を守ろうとしてくれている。

 

 なぁ、珠凛。

 さっきから、頭痛が凄くて、胸が痛いんだよ。


 気づくの遅れてごめんな。

 おれ、珠凛がいないとダメみたいだ。


 珠凛を虜にしたくて、毎日、一緒に過ごして、たくさん話して、イヤってほどセックスして。まさか、自分の方がこんな気持ちになってしまうなんて、夢にも思わなかった。



 珠凛が犯される……これは想定してた展開なのだ。


 「……それにその子がどこまで耐えられるかは、今後、裏切らないかの究極の試金石になるの。だから、犯されるまで助けてはダメ」


 俺は咲姉にそう言われた。


 でも、俺は真逆なことをしようとしている。樹兄と咲姉にバレたら、半殺しにされるのだろうな。きっと「この軟弱ブタ、シネ」って言われる。



 だが、俺の身体は自然に動いて、気づいた時には、ドアを蹴り破り、斉藤を蹴り飛ばしていた。

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