点と点が繋がった?
その日は、私と森谷さんの騒動があったせいか、職場の人達は皆、無口になっていた。
職場の雰囲気もどんよりだが、私の気分もどんよりだ。
重たい空気を背負ったまま、仕事を終え、帰宅の途についた。
沙織ちゃんの事件以来 、息子は私を心配してなのか(?)学校が終ると真っ直ぐ帰って来るようになっていた。
私の帰宅時間と息子の帰宅時間は大体同じくらいで、今日は僅差で、息子が先に帰って来たようだ。
息子は自室で音楽でも聴いているのだろう。
どんなに、どんよりしてても、夕食は作らなきゃいけないのだ。
今日はカレーにしよう。
そんな事を考えていたら、エリちゃんから電話が入った。ちょうど良かった。今日の愚痴を聞いてもらおう。
「もしもし?堀内さんですか?」
「そうです!こんにちは!」
「あれから何か、沙織さんの件で進展あったかな?と思いまして」
「連絡入れなくて、ごめんね!沙織ちゃんの初七日に、お家にお参りに行って来たんだぁ」
と、あの日の旦那さんとのやり取りを話して聞かせた。
エリちゃんは「夫の時もそうですけど、田舎の警察だからなのか、明らかに誰かに刺されてたとか、部屋が荒らされて物が無くなってた、とかじゃない限り、詳しく捜査してくれないんですよ」と憤りを口にした。
沙織ちゃんの旦那さんの事についても「あまり、奥さんと仲が良くなかったのでしょうか?話を聞く限り、事を大きくしたくないだけのように感じますけど……ようするに面倒臭いみたいな?」とエリちゃんは言った。
「夫婦仲はどうか知らないけど、面倒臭さは感じたかな」と私も感想を述べた。
いっぽう、職場での出来事について、エリちゃんは「沙織さんが店長と不倫だなんて、しかも共犯みたいな事を言うなんて、酷すぎます!私の立場でも堀内さんと同じ事したかも」と怒りをあらわにし、私に共感してくれた。
「気になるのは広本君です。生前、夫から広本君の話は聞いていました。『真面目で頼んだ仕事はきちんとこなすし、出来た奴なんだ』と、夫は相当、広本君の事をかっていました。とても信頼していたので、自分が不在の時は広本君に店長代理として業務を任せていたようです」と話すと、エリちゃんは少し間を開けてから、
「夫から聞いたわけではないですが、自分が不在の時に、お店の売り上げの管理も広本君に任せていたんじゃないかと思うんです。……つまり……夫の不在中に広本君が横領していたんじゃないかと……」と、“広本君犯人説”を唱えた。
私もエリちゃんの話を聞いていて、すべてが広本君に繋がっているんじゃなかと疑った。
店長の自殺、消えた店の売り上げ金、沙織ちゃんの死……
私は確信に変わり「その可能性あるかもっ!だって、沙織ちゃんが亡くなった次の日から、お店に出て来なくなって……沙織ちゃん、もしかして、何か証拠を掴んだのかもっ!!それで……それで殺された?」と興奮気味に言った。
エリちゃんは「夫も沙織さんも、広本君に殺されたんですよ」と低い声で言った。
私とエリちゃんは翌日、再捜査の依頼をしに警察署を訪れた。
しかし、旦那の言うとおり、『再捜査して下さい』『はい、わかりました』と簡単なものではなっかった。
対応してくれた刑事さんは「事情はわかりましたよ。でもね、我々警察もきちんと捜査して、事件性がないと、判断したわけですよ」と適当にあしらわれてしまった。
エリちゃんと二人、絶望して警察署を後にしたた。




