表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/25

激情

その日の夜、旦那に、沙織ちゃんの旦那さんの話をした。

「警察に再捜査を依頼するのが面倒臭いって事?

それとも警察は絶体に間違った事はしないと、完全に信じきっているからかな?」と私が旦那に問うと、「まぁ、その人本人じゃないとわからない事だけど……疑心感があったとしても、どうしたら良いのか、わからないんじゃない?警察が事件性ないって言うんだから、どうしようもないじゃん」

「だから再捜査してって言えばいいじゃん」と私がむきになると「『再捜査してください』『はい。します』って簡単なもんじゃないでしょ。俺に言ったって仕方ないじゃん」と()()()()をしてしまった。

「 そうだよね。ここで私達がいくら言い合ってもね……」と(われ)に返った。


沙織ちゃんの死は、やはり、パートのおばちゃん達の噂の種になっていた。

店長の死からわずか2ヶ月たらずの出来事に、様々な憶測を呼んでいた。


そう言えば、広本君はあれから一度も出勤しておらず、パート主任が電話をかけても、本社の人が電話をかけても(つな)がらず、社員さんがアパートへおとずれても、居ない様子で、完全に音信不通の状態にあるのだという。

パート主任の森谷さんが、広本君の友達である岡崎君に連絡を取るようにお願いしたが、「俺も連絡つかないんすよ」と困ったように言っていたらしい。

朝のロッカールームでは噂の種がいっぱいで、話が()きる事がなかった。

「店長の呪いじゃない?」

「考えたくもないけどさ、広本君も死んでたりして」と不謹慎な事を言う人もいた。

「やだぁ、鳥肌立つわぁ」と、まぁ皆好き放題言いますわ。


パート主任の森谷さんが「ねぇ、店長と西森さん不倫してたんじゃない?店のお金、西森さんに()ぎ込んでたんじゃないかな?店長が死んだから、後を追って自分も死んだとか?」


私は考えるより先に、森谷さんに(つか)みかかっていた。

「ふざけんじゃねぇっ!!知りもしない事を憶測(おくそく)(しゃべ)ってんじゃねぇよっ!!言って良い事と悪い事があるだろっ!!その歳になって、そんな事もわかんねぇのかよっ!!」と胸ぐらを両手で(つか)み、激しく(ゆさ)さぶった。

私の行動に、周りのパートさん達はびっくりして、一瞬(とき)が止まったかのように固まっていたが、すぐさま何人かのパートさんが、私を森谷さんから引き(はな)した。

惣菜部の山田さんが「森谷さんも、ちょっと言いすぎだわ」 と森谷さんを(さと)した。

森谷さんも自分が言い過ぎた事を自覚したようで、しゅんとして、私が(つか)みかかかった胸ぐらをバサバサと払った。


私はあまりの怒りに手が震え、呼吸も浅くなって、過呼吸のようになってしまった。

はぁはぁと、苦しくてうずくまると山田さんが、「堀内さん?水持ってくるかい?」と背中を(さす)ってくれた。他のパートさんが水を持って来てくれた。

誰かが「救急車呼ばなくて大丈夫?」と聞いてくれたが、私は「大丈夫です」と声を振り(しぼ)った。

水を飲んで、しばらく安静にしていると収まってきた。

山田さんは「今日はもう早退したら?」と気遣ってくれたが、私は「もう大丈夫です」と立ち上がった。

山田さんがまた背中を(さす)ってくれて「無理しないでよ」と言い、他のパートのおばちゃんちゃん達は、私をあわれみの目で見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ