表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/25

霹靂

ようやっと開けられた従業員専用の玄関に、社員さんやパートさんが、やいのやいの言いながらゾロゾロと入って行った。

「お客さん外で待ってるから、早く自動ドア解錠(かいじょう)してっ!!」と本社から来た社員さんが怒鳴った。


開店の準備が出来ていないまま、店を開けてしまったので、各部門の人達は大慌(おおあわ)てでそれぞれの作業へとりかかった。

とはいえ、まだお客さんもそんなに居なかったので苦情案件(くじょうあんけん)になる事はなかった。


私ら惣菜部門も大忙しだった。

さっきまで、頭がぼーっとしていた私も、仕事を始めるとアドレナリンが出てきたのか、ひたすら、お寿司やら弁当やらを作り上げていく。

山田さんもフライヤーと格闘していた。

グロサリー部門はレジの人達に応援を頼み、なんとか作業をこなしていた。


戦いは終った。


いつもは10時に休憩時間を(もう)けているのだか、今日は休んでいる暇もなく、昼の休憩時間まで頑張らざるを()なかった。


休憩室(けん)、ロッカールームへ入ると(すぐ)ぐに、スマホを確認した。


沙織ちゃんから、着信ありだ!たぶん旦那さんだろうけど。

着信時間を見ると7時43分だった。

マナーモードにしてたし、広本君騒動で全然気が付かなかった。 折り返し、電話をかけたが出なかった。


すごく気になったが、 昼食を取ると、一気に睡魔(すいま)(おそ)われてしまった。

少しだけ横になるつもりだっが……

「堀内さんっ!!」と大きな声で、体を()さぶられ、「はっ!!」と(おどろ)いて目を開けると、「休憩時間、終わりだよ!イビキかいて爆睡(ばくすい)してたよ」と山田さんに笑われた。

30分以上は寝ていたようだ。

(げー!タバコ吸う時間ないじゃん)


( そんな事より、沙織ちゃんどうなったかな)

スマホを確認すると、何処(どこ)からも電話は来ていなかった。

午後からは追加の惣菜(そうざい)を作りながらも、電話が来てないか気になって、気になって仕方がなかった。


ようやく仕事を終え、足早(あしばや)にロッカールームへ向かう。

スマホを手に取ると、またもや沙織ちゃんから、いや、旦那さんから電話が来ていたようだ。

着信時間は……つい、さっきだ。

もう上りの時間だし、家に帰って、落ち着いてからかける事にした。


(あわ)ただしく帰宅。

玄関へ入るとすぐに、沙織ちゃんのスマホに電話をかけた。


出たっ!!


私はまた出ないんじゃないかと、油断していたので、「あ、あ、あの堀内と申します」と言葉に()()()()しまった。

電話口の相手は、やはり沙織ちゃんの旦那さんだった。

「はい、今朝は沙織の事で、何度も会社へ電話を入れたのですが誰も出なくて……それで、堀内さんの方に電話をしたのですが……」と旦那さんが言った。

「すみません。会社の方でちょっとしたトラブルがありまして……私も電話に気が付かなくてすみませんでした」と謝った。

続けて私は「沙織ちゃんの、容態(ようだい)はどうですか?」と(たず)ねた。

話しながら、リビングへ向かい、ドアに手をかけて中に入ろうとした時だった。


「沙織は昨夜、搬送先の病院で死亡が確認されまして………」


稲妻のような衝撃が身体を()け抜けた。


(ひざ)から崩れ(おち)ちた。


「嘘でしょ……」私は(しぼ)り出すよう言った。

旦那さんも何も答えず、沈黙(ちんもく)していた。


私がしゃくり上げて泣いていると、電話口から「今、葬儀会社の方と打ち合わせ中でして……」と旦那さんが、かすれた声で言った。

私は「沙織ちゃんは自宅へ戻られているんですか?」とやっとのおもいで(たず)ねた。旦那さんは「はい、今日は自宅で仮通夜になります」と答えた。

(うかが)ってもいいですか? 」と聞くと、「はい、大丈夫です」と旦那さんは答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ