いつもの朝
主人公はどこにでもいる主婦。
いつも似たような日々を送り、今日もまた、代わり映えのない一日を送るはずだったのに……
いくら寝ても眠い。
新しい朝の始まりなのに、毎日同じ朝を迎えているように感じる。
同じ時間に起きて、顔を洗って、台所に立ち、旦那の弁当を作り、朝食の支度をする。
時計をチラチラ見ながら息子を起こしに部屋へ行く。
コンコンコンッ、乱暴にドアをノックして叫ぶ「こらー!!純一!いつまで寝てんのっ!学校遅刻するよっ!」
息子からかえって来る返事は決まって 「うるせぇ、ババァ」
毎回このやりとり。
「 夜中まで起きてるから朝ちゃんと起きれないんでしょ。早く起きてご飯食べなさいっ!」私もまた毎回同じセリフをブツブツと言い、リビングへ戻る。
旦那は我関せず、淡々と身仕度をして、会社へ出かける準備をしている。
「行ってきます」
「ちょっと!弁当忘れてるし!」
「あ、すまん、すまん」
私はムスッとした顔つきで旦那に弁当を手渡す。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます 」
そんなやり取りの間、髪の毛ボサボサで、むさ苦しい顔の息子がやっとリビングへ登場。
パジャマのまま朝食を食べ始める。
「時計見てよ!学校遅刻するよ!」と息子を急かしながらも自分もパートへ出かける支度をする。
( まったく、毎日毎日、何回同じ事言ったらわかるんだよ。中学生になったとたんに反抗期だもんなぁ。言うこと聞かなくて腹立つわぁ)
チラッと窓の方へ目を向けた。
青空に浮かぶお日様は、地球が憎いのかと思えるぐらいに『これでもくらえっ!』と灼熱ビームを発しているようだった。
( はぁ、今日も暑そうだなぁ)
そんな事を考えながら身支度を進めていると、息子が制服をだらしなく着て、慌ただしく玄関へと向かって行った。
(そんなに焦るなら早く起きろよ)
「行ってらっしゃい!車に気をつけてね!」
息子は無視。
壊れるんじゃないかってくらい、ドアを乱暴に閉めて出て行った。
大きなため息を吐き、私も出勤のため、玄関を出る。
玄関を出ると速攻で、お日様の灼熱ビームにやられてしまった。
「 暑っ!!」
(早く職場に行きたいわぁ)
私はスーパーのお惣菜部門に勤めているので、職場はクーラーがキンキンに効ていて真夏でもとても涼しい。
職場は家から徒歩15分くらいの距離にある。
こりゃあ、職場に着く頃には汗で化粧がはげてるだろうな……