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能ある狼は爪を隠した  作者: 音月 無異
1 落ちたメモは拾えずに
9/9

黒に塗れた


彼らは何も知らなかった

何も知らなかったからこそ、平然のようにゲームを進められたのだ

いや、彼らなら犠牲が出ると知っていてもこの残酷なゲームをやっていたかもしれない


もうすでに死人とした男性

正気のない目は、濁りじっと俺を見つめる

気のせいとだと信じたい これが夢ではないかと疑いたい

そうだと信じたかった

だが、それも一時の気休めでしかない

直ぐに現実に引き戻された


「お疲れ様でした 就寝時間まで時間があります 食堂で食事するも探索するも自由にしてください」


と、冷たくそれだけ発言があった


心許ない言葉に絶望しそうになる

なんで、こんなことになってしまったのだろう

ただのゲームだと思いやってしまったのが浅はかだったのだろうか

誰も言葉を発することはない

発する事ができない


「なんで、なんで……ひっぐ」

「…………これはただのゲームじゃないみたいですね、」


十六夜は、取り乱している間に入りそう発言した


「デスゲーム よくあるタイプのですね」

「明日からが本番じゃないですか?死ぬか殺すか」


十六夜の言葉に耳を疑う

どうしてこんなにも冷静でいられるのだろうか

まるで、人狼か狂人でもあるかのようだ


「……もう遅いし、私は部屋に戻るね」


こうは、一人自室に戻った

他のメンバーも次々と部屋へ戻っていく

そんな中、あおだけが自室に戻らなかった

あおは、放置されているとみの亡骸へ近づく

別に霊媒師というわけではないし、彼の役職がわかるわけではない

あおは、まじまじと死体を見つめる

蒼白よりも青い色をした死体はまさに変死体

毒でも盛られないとそうはならないだろう

そうすると、料理に毒が入っていたことになる

なのに、自分たちには症状が出ていない

それが不思議で仕方なかった


「どうしたのですか?そんなところで」


慌てて振り返ってみると、見た事ない人物がいた


「あなたは?」


質問をすると、人物は不敵な笑みを浮かべ答えた


「誰でしょう でも、あなたの知っている人ではある」


知っている人、そう言われ少々びっくりする

知っていると言われても、俺はこの人を知らない

見たこともないし声も聞いた事がない

どこかでお会いした事があるか、そうきこうとすると

先程まで自分の目の前にいたはずの人物はいなくなっていた

ここでは前々からデスゲームまがいのことが開催されていたみたいだし、きっと前のゲームの犠牲者だろう

幽霊が出て来てもおかしくはないし、怪奇現象も不思議ではない

まだまだ時間はあるが、長く動く気力が起きない

そろそろ、俺も部屋に戻ることにした


とろとろと部屋の中に入る

部屋は、朝に出た時よりもどんよりとしていた

誰もいない誰も見ていない部屋になってしまうと、先程の風景がフラッシュバックする

とみさんが俺を疑ってきた時、とみさんの吊りが確定してしまった時、とみさんが苦しみ出して死んだ時、次々と頭に映像化されてくる

そんな風景に体が震えてしまう

どうしてこんなことになってしまったのだろう

きっと、今日起きたらまた誰か一人殺されているのだろう

それが、俺かもしれないそう考えると一層怖くなる

死をまじかにするとこんなにも怖いことに驚く

少し前まで、自分がああ思っていたなんて、


「残酷な選択を時にはしないといけないんですよ」


謎の声が急に出てきた


「……どうしてこんなことをするんだ」


いつもより低い声で発する

単純に疑問だったのだ こんなことをするのか


「……別にあなた方話すようなことでは御座いません」


そう言ったまで、また声は消えてしまった

なんのためにきたのやら、そう思っていると少しばかりか眠くなっていく

気づいた時には気絶するようにベットに倒れ込んでいた




真っ黒な館

いや、基本的に館自体が真っ暗なのだが、それよりも一層漆黒に染まっていた

足音を立てないようにこっそりと行動を始めたのはおそらく人狼

誰かの部屋を開けて、ターゲットを決める

黒い影がそろそろと寝ている人影に迫る

それに気づくこともなく、寝息を立てて人は寝ている

人影は、迷いもなくナイフを突き立てた

ちょうど、左胸に当たったナイフは勢いよく抜くと、血を床に滴らせ人影の元に戻った

人影は、ただ立っていた

目も、顔もわからない 漆黒の中に紛れた黒い影はその部屋を後にした


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