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能ある狼は爪を隠した  作者: 音月 無異
1 落ちたメモは拾えずに
2/9

人狼ゲーム

館の扉にそっと手を置く

何だか緊張する気持ちを抑え扉を開ける

中は、薄暗く窓もない長い通路が広がっていた

そのまま、何も言わずに俺らは館の中に入る

一本道の通路 何処かに分かれ道や部屋がないかと歩き始める

すると、何だか違和感を感じる

館に入って始めに感じた違和感

入るまで全く感じなかったのが不思議だ

先程から、何処からか見られているような視線を感じる

一体何処から見られているのだろう

まるで、監視カメラで監視されているような感覚だ


「本当に何もないですね」

「そうだな」

「足音、響いてて不気味……」


歩きながら、それぞれポツポツと話をする

ランドセルの少年は相当怖いのだろう体を小さくし、自分を守るかのようだ

俺がさっき、大声を出した時は響くことすらなかった

だが、今は足音だけが反響しとても大きく聞こえている

足音は六人のはずだ

なのに、それ以上いるかのようにものすごく大きく聞こえるのだ

本当に不可解な事が起こりっぱなしだ


何もない

ただ薄暗く、保安灯の様な先が見えない暗い通路

何処までも進めそうな、無限の通路のようだ


「ひらけた場所が見えてきました」


エプロン姿の女性がそう呟く

長い通路を進んだ先

実際に長いのかはわからないが

開けた場所に出る事ができた

だが、その場所もまた異質そのもの

部屋の中央には大きなテーブルと椅子が六つ

俺達の人数分ある椅子は何を指しているのだろうか

まるで俺たちがくるのを見据えていたかのようなそんな感じだ

そして、大きなスクリーンが俺達を歓迎している

それ以外何もない

大きな部屋が無駄のように感じる


「な、何この部屋……」

「おかしすぎる……」

「なんだ、これ……」


他の皆も次々と言葉を口にする

メッシュ髪の彼女も、制服姿の彼女も同じく驚愕した顔つきだ

一方エプロン姿に女性は、このような部屋の内装にびっくりするよりも、なんでこんな部屋があるのかに恐怖しているように見える

あたりをまじまじと観察しているといきなりランドセルに少年が声を上げた


「ねぇ、なんか、じじって音するよ」

「音……?」


いきなり言われたことに紳士的な男性は質問を投げ返す

よく耳を澄ましてみると、確かにじじっと音が聞こえたのだ

ノイズ音のようなそのような音が微かに聞こえている

どうしてこんな音が鳴っているのだろう

学校でもないのに……

だんだんと、ノイズ音が大きくなっていく

じじっ、じじじ と、

音が止んだと思ったら


「これからゲームを始めます」


と声がした

いきなりの声に全員が驚く


「だ、誰だ!?」

「な、何!?ゲームって……」


突然の事で混乱もの、余りの恐怖に泣き出しそうになるもの、声を上げるものと様々な反応だ

俺も、これには驚くを隠せなかった

ゲームとは一体

この声は何処から聞こえているのだろうか

そんな疑問が頭の中を巡る


何処からか突然聞こえてきた不思議な声

その声は、人間が話しているのだが何処か機械的で息継ぎひとつない

感情がないまるで無機質が言葉を発しているのだ

大人しく、落ち着きにある美声には似合わぬ喋り方だ

混乱している俺たちを置き去りにし、謎の声は話し続ける


「ルールは至って簡単です」

「皆様には人狼ゲームを今からしていただきます」


人狼ゲーム

謎の声はそう言った

ただの子供の遊びなのだろうか

人狼ゲームといえばカードゲームというイメージがある


「人狼ゲーム……?」

「はい、」

「詳しく説明したいので、まずはそこも机の席に座ってください」


俺たちは指示に従い、それぞれ席に座った

かなり椅子に感覚が空いている

まるで、ソーシャルディスタンスをしているようだ

こんくらい間隔をあけるのは、あの忌々しい病コロナが流行った時以来だ

あの時はとても大変だったな

全員が座ったのを何処から確認したのか、少し間を空けて謎の声が再び話し始めた


「では詳しい説明をします」

「と言っても、普通の人狼ゲームと何ら変わりはありません」

「早速、役職の方をお配りします」

「ちょ、ちょっと待って!!いきなりすぎるでしょ!!」

「俺らはこんなくだらないゲームをするためにこの館に入った訳じゃないんだ!!帰らせてもらう!!」


突然の事に声を張り上げる二人

確かに、俺たちはここが何処だか聞くためにここに入ったのだ

どうしてこんな事に巻き込まれているんだろうか

そう、声を出そうとした瞬間

別の声に遮られた


「では、こういうのはどうでしょう」

「人狼ゲームに参加してくれないとこの館から出すことはできません」

「出して欲しいのであれば、此方の言うことを聞いてください」


やらないと出る事ができない

何処かのアニメや小説と似た展開に遭遇している

謎の声の人も考えているのだろう

此方が望んでいる事を条件に出されてしまった

これは、ゲームをやるそれしか選択肢はないのだろう


「わかりました 話を、続けてください」


話を進めるしか、やることはない

断ったら何をされるかわからない

なら、潔く従った方がいいのだろう


「……貴方は物分かりが早くて助かります」

「とりあえず、皆様の前に役職カードをお配りしました ご確認ください」


すると、目の前の机にあった切れ込みが上に動いた

中は空洞になっていて、そこには一枚のカードがあった

カードは裏向きになっておりそこには狼が描かれていこれが役職カードなのだろう

早速役職カードを確認する

役職カードには、絵とその絵の役職の説明が書かれていた


「皆様確認しましたね」

「では、今度こそ詳しいルール説明をします」

「この人狼ゲームは基本は変わりませんが何箇所か特殊なところがあります」

「この人狼ゲームはリアルタイムで時が進みます 二十四時間が一日のサイクルです」

「会議の時間は午前九時と午後三時それぞれ十分から三十分の時間を設けます そして、投票の時間は午後四時の時間です」


一日のサイクルが二十四時間……

そうなると、このゲームが終わるのに三日以上かかるのかもしれない

長い時間この館で過ごさなければいけないのは相当気が滅入る

いつか、狂ってしまいそうだ


「会議の時間になるまで館を好きに探索してかまいません」

「そして、まだ皆様相手の名前を知らないようでしょう 自己紹介をしましょう ですが、絶対に本名を使っていけません仮名を使ってください」


本名を使ってはいけない……

何故なのだろう

まずは、仮名を考えないとな

何にすれば……


謎の声から言われたことは様々だった

時間だったり、名前だったりそんな事を淡々と説明された

ずっと変わらない声のトーンに何だかリスニングテストを受けているのだろうかと、そんな気分に陥る


「ねぇねぇ 仮名ってなんていうの?」


ランドセルの少年が聞いてきた

この年齢だったら仮名、その意味を知らなくても違和感はない

まず、小学生で仮名なんてスマホでSNSをやっている限り使わないだろう

いや、ゲームとかで使うのだろうか

とりあえず、説明をする事が先であろう


「自分の本当の名前ではなく、自分で作った名前のことです それで自己紹介しないといけないみたいです」

「そっか〜!」


上手く説明できただろうか

余り子供に接してこなかった分、どうやって接したらいいのかもわかりやすい説明の仕方も知らない

果たして、ちゃんと伝わっているのだろうか


「じゃあ始め僕から自己紹介したいな!」

「れおっていうよ 僕のペットの名前だけど よろしくね!」


れお、そうなのった少年は軽く微笑む

れおくん……

本当の名前ではないが、可愛い名前だ

確か、小学生時代同じ名前の友達がいたっけ?


「時計回りで行くなら、次は私ですね」

「えっと、こうって呼んでください」


こうさんか……

次は順番的に俺の番だ

仮名…… 何にしようか

俺が小学校時代呼ばれていたそれがいいだろう


「俺はあおです 少しの間ですけどよろしくお願いします」


少し、堅苦しかっただろうか

そんな心配をしながら残りの三人の自己紹介聞く


「わ、たしは鈴蘭って呼んでください」


鈴蘭 どんな花だっただろうか

好きな花なのか気になるところだ


「俺はとみって呼んでくれ」

「私は、十六夜です……」


それぞれ、自分の仮名を言っていく

それぞれ何か意味があるのか不思議なところだ

俺は深い意味なんてないが、他の皆がどうなのかはわからない


「あ、あの……! せ、折角ですしみなさんタメにしない? ですか…?」


こうが少し自信なさげに提案する

その証拠に最後に小さく敬語で付け足している

確かに、ゲームをするのだったら仲を深めておくのは大事だろう

ずっと敬語何は話が続かないというか、大きな距離がある気がするのだ


「そうだね

「あまり、タメ口にはしないんだけどね……今回くらいは、そう 話してみようかな」

「あ、あの私は敬語の方が慣れてるのでそっちにしときます」


十六夜さんは敬語のままで行くのか

まぁ、無理してタメ口にすることはない

人には得意不得意があるように慣れてる方、慣れてない方とよくわかれるものだ

全員の軽い自己紹介が終わる

すると、また謎の声が聞こえてきた


「皆様、自己紹介は完了したようですね」

「早速、明日からゲームがスタートします」

「もう深夜二時過ぎとなっています 今日はもう休暇をとりましょう 明日の起床時間は七時です 皆様の部屋は東側の通路ですそれぞれ名前のプレートをつけてあります 部屋にお帰りください」


謎の声は説明をする

もうこんな時間になっていたのだ

深夜に二時……徹夜した時の時間帯だ


「じゃあ早速向かお!」


れおは先導し通路に入っていく

東側の通路には綺麗にそれぞれ先ほど話した仮名のプレートが置かれている

この館には誰かいるのだろう

正体は全くもってわからないが、おそらくあの謎の声の女性ともう一人確実に……

出ないとこうすぐ準備することはできないだろう


「じゃ、じゃあおやすみ…… 」

「俺も、何だか眠くなってきた おやすみ」

「おやすみ!」


口々におやすみと言って部屋に入っていく

俺も部屋に入る

部屋は八畳ほどで、ベットに机、小さなテーブルが置かれており設備はものすごくちゃんとしているようだ

俺は、ベットに潜り込み眠りにつこうとする

ベットも枕もふかふかでとても寝心地がよい

こんな寝床には初めてついた

ベットの中で、謎の声に言われた事を整理する

人狼ゲームそれが明日から始まるのだ

明日から皆は敵であり味方である

何だか、不審な感じもするが考えても無駄だろう

とにかく今日はもう遅い早く寝て明日会議前に探索できるようにしよう

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