表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

リベンジの時


 翌朝、リュウタはヒミコの前に立った。彼の目には強い決意が宿っていた。ヒミコはその様子に気づき、いつも通りの微笑みを浮かべた。


「また、何か用かしら?」


彼女の声にはいつも通りの軽やかさがあったが、リュウタはその背後に潜む冷たさを感じ取った。


「もう一度、勝負をさせてくれ。」


リュウタは真っ直ぐに言い放った。その言葉には、以前とは違う鋭さと決意が込められていた。ヒミコは一瞬、驚いた表情を浮かべたが、すぐに再び微笑んだ。


「ふふ、いいわよ。負けてもまた住み込みで働くだけだから、心配ないでしょ?」


彼女は楽しげに言い放ち、再び7並べの準備を始めた。だが、今回はリュウタもその手口を知っている。今度こそ、彼女の罠にはまらない覚悟があった。


勝負が始まる。ヒミコは再び滑らかにカードを出し、リュウタを追い詰めようとした。しかし、リュウタは冷静だった。彼女のいかさまの手口を知っているからこそ、その動きに合わせて巧妙に対抗することができた。


「どうしたの? 今回は強気ね。」


ヒミコは彼の変化に気づき、軽くからかうように言ったが、内心では焦りが生じ始めていた。リュウタの動きが以前と違い、的確にカードを出してくるからだ。


「お前がどうやって勝っていたか、全て見抜いた。」


リュウタは低く囁くように言った。ヒミコの手が一瞬止まる。


「見抜いた……?」


彼女は眉をひそめたが、すぐに笑顔に戻った。しかし、その笑顔には以前のような余裕はなかった。


「さあ、次はどうする?」


リュウタの言葉に、ヒミコはカードを握りしめた。彼女が次に出そうとするカードが、もはや彼の前では通用しないことを理解していた。勝負は次第にリュウタのペースになり、ついに最後の一手で決着がついた。


「これで終わりだ。」


リュウタは冷静に最後のカードを置いた。ヒミコの瞳が一瞬揺れた。それは彼女にとって初めての敗北だったのかもしれない。



---


5. ヒミコの動揺とリュウタの勝利


ヒミコはテーブルの上に並べられたカードを見つめ、無言で立ち尽くしていた。彼女の美しい顔に、初めて焦りと驚きの表情が浮かんだ。リュウタはその様子を静かに見守りながら、心の中で勝利を噛みしめていた。


「……本当に、見抜いたのね。」


ヒミコが低く呟いた。その声には、いつもの無邪気さも冷たさも消え、ただ素直に負けを認める響きがあった。彼女はしばらくリュウタを見つめていたが、やがて小さく笑みを浮かべた。


「面白いわ。あなた、なかなかの腕ね。でも……まだまだ本当の勝負はこれからよ。」


ヒミコは悔しさを感じさせない笑みを浮かべながら、そう言い残した。だが、リュウタには彼女が少しだけ動揺していることがわかった。彼女にとって初めての敗北が、彼女の心を揺さぶっているのだ。


リュウタはそんな彼女の表情を見て、わずかに微笑んだ。


「またいつか、お前に会う日が来るかもしれないな。」



---


6. 新たな旅立ち


勝利を手にしたリュウタは、再びこの街を去ることを決意した。ヒミコとの勝負は終わったが、彼の旅はまだ終わっていない。彼の目的は、この街を支配する「カゲ」という組織の全貌を暴くことにある。そして、その道の先には、まだ多くの試練が待ち受けているだろう。


「これで終わりじゃない。まだ続く……」


リュウタは背中に朝日を浴びながら、再び旅立った。背後には、ヒミコの微笑みが遠くに残っているような気がしたが、彼は振り返ることなく進み続けた。



---



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ