初恋
「フフフ……」
「アハハハハ!」
音楽と音楽が交わるダンスホール。今踊っているのは青年と少女だけだ。リズムに合わせて少女がターンした後、リズムに合わせて青年がターンする。周囲には踊り疲れた人々が、彼らのダンスを見守っていた。
――ああ、楽しいな。
2人は笑顔を浮かべながらそう思った。心の底から。好意を抱きながら、愛情を前面に押し出しながら彼らはダンスをする。彼らは誰もが見惚れるほどの体裁きをしながら、手と手を取り合った。しかし、大勢の観客が見守る中、2人のダンスは唐突に終わる。
踊り疲れたのはのは、少女だった。
「楽しかった、な……」
「ああ、そうだな」
青年は、純白のドレスを真紅に染めながら血に伏す少女に同意した。
「君は、昔はとてもつまらなかったのに、今はとても愉快な人になったね」
「そうだったな。あの時俺は絶望した。それから俺はお前に恋情を抱いた」
「そう、だったね。そこは、私と同じだったか」
薄く笑う少女。もう既に笑うだけの体力は残されていない。青年はそんな少女の首に手をかけた。
「さあ、俺の渾身の愛情を受け取れ」
そうして青年は手に力を加えた。骨がきしむ音がして、少女の首は折れた。そのあと心臓を抉り出し、食べた。これでもう少女が生き返ることはない。
「フフフフ、ハハハ、アーハッハッハッハッ!!!」
青年は涙を流しながら、心の底からの笑顔でこの結果を喜んだ。
その日、一つの宿命が潰えた。
そしてまた、一つの宿命が生まれようとしていた――。