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いつのマニカ前世、二人ツナグ来世。~時超えの石~  作者: 破魔 七歌 
第一章 来世編。

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6.次の駅。

「あぁ……。どんどん駅が遠ざかってく。最悪だ。どうしようか」


 雪とともに流れてく、外の風景。

 徐々にスピードを上げた列車の窓から、雪に覆われた僕の街が遠ざかる。僕は、そのまま閉め切られた冷たい扉の前で立ち尽くすしかなかった。


「ヤバくないか。どんどん雪が降って来てるし。もしかしたら、帰れなくなるかも」


 僕は、扉の窓から見える雪の景色を見つめながら、一人不安になり、呟いた。

 優柔不断──。

 ハッキリしない、パッとしないどころか。マニカへの態度もそうだけど、この決断力の無さが悪い結果を招いてしまっている事実。

 思い切って、マニカと一緒にマニカのお母さんの車に乗れば良かった。いろんな意味で、好機(タイミング)とか幸運(チャンス)を逃してしまってる気がした。僕の人生において。後悔した。けど、もう、遅い。


「いつもこうなんだよな。なんか、自意識過剰過ぎて。って、キモくないか? ヤバい。自己嫌悪感……。どうしよう。拭えない」


 何やってんだろうって、想う。駅の電光掲示板には大雪警報の文字(テロップ)が、流れてたし。親に迎えに来てもらうにしても仕事で遅いし。親だって、この雪の最中、まともに家に帰って来られるか分からないし。


「あぁ……。こんな時、空也(ソラヤ)だったら」


 遠ざかる外の景色を見ながら、空也のことを想う。空也のことも空也自身には伝えてないけれど。

 ……僕の憧れの存在だった。

 いつも空也は、影が薄くて誰とも話せない僕に話し掛けて来てくれる。僕とは対称的で明るい空也。別に僕と関わってるからって、他の友達とも影響無さそうだし。羨ましい。


「空也みたいに生きれたらな……」


 どんなに良いだろう。

 さっきから、独り言が止まらない。これも、キモいか。キモいことだらけだ。

 僕が壁にもたれ掛かりながら、出入り口の扉の窓から見える雪の景色を見つめていると──。徐々に、列車のスピードが落ちて来た。また、幾つかの駅を通り越したみたいだった。

 

 僕の住む街からは遠く離れた別の街──。

 溜め息をついてたら、列車が駅に止まり扉が開いた。冷たい雪の風が吹き込んで来て、僕の吐いた息が真っ白に消えて行く。

 大勢の人たちが、足早に駅の改札口に向かってて。エスカレーターの出入り口付近が、とても混雑していた。

 そんな中、一人。

 駅のベンチに座る俯いた男子生徒を見つけた。


(──僕と同じ学校の制服?)


 ……空也だった。

 清々しい短髪に刈り上げられた後ろの首もとが寒そうだった。うな垂れてる。両足を真っ直ぐに伸ばして。


「空也?」

「あ? お、(ツナグ)じゃねぇか! てっきり、あの子と降りて……」

「見てたの?」

「いや、悪ぃ……。なんか、邪魔すんのもなって。それより、繋! 凄ぇな!? お前、いつの間に? だって、あの子、昨日転校して来たばかりだぜ? ちょ、馴れ初めとか教えろよ。あー、これが親の気持ちってヤツか」

「いや。いつ、僕が空也の子どもになったんだよ」


 こんな風に。

 空也との会話は、いつも通りだった。正直、ホッとした。胸を撫で下ろした。あのまま、空也とさえ気まずくなってしまったら、どうしようかと想っていたから。

 

 雪が白く吹き荒ぶ駅舎の景色。けれど、やっぱり、空也と居ると心地良い。影が薄くて暗い僕の心に、明かりが灯される。こればかりは、本当に救いだ。空也は、僕の人生において希望の光で救世主(ヒーロー)だった。

 そう言えば、夢の中の女の子──マニカに似た子の姿も、夢ではよく見ていた。けれども、それと同じくらい空也も僕の夢によく出て来る。え? でも……。既視感? なんか、前にもこんなことが、あったような? デジャヴってヤツなのかな。あれ? なんか、引っ掛かる。おかしい……。


「おー。それは、そうとよ? どうする? 俺たち、めっちゃ街から離れてるぜ?」

「まぁ、考えてても仕方ないよ。反対方面の列車を待つしか」

「だよな。んじゃ、向かいのホームに急ごうぜ? 今度は、乗り過ごさないようにな?」

「そうだね。空也も乗り過ごすことあるんだ? 珍しいね?」

「あー。たまにな? 考えごとしてたら、自転車(チャリ)漕ぎの疲れで、ドッとな!」

「空也が、考えごと……か」


 やっぱり、引っ掛かる。明るく努めて空也は振る舞ってるけれど。もしかして、空也はマニカのこと……。

 僕の思い込みだろうか。考え過ぎ? それにしても、やっぱり、モヤモヤが晴れない。けど、なんか、空也にマニカのことを聞くのも……逆に、僕がマニカのことを気にしてるみたいで恥ずかしい。何なんだ、この気持ちは。


 既視感──デジャヴと言い、空也とマニカのことと言い……。引っ掛かることばかりだ。

 けれども、今は。

 隣に、空也が居てくれるだけで心強かった。僕も、冷静さを保っていられたから。何とか、なりそうな気がしてた。








 

 


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] これはまた、アオハルな予感ですね~。 主人公君の感じてる既視感はなんなんでしょうね~。 続きが気になりますね~。
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