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じゃじゃ馬な姫

ー 地帝国タイタン。この国の創設者にしてこの世界の住人に恐れられる魔王…ゴーレムマスター・ラビタスが一人…たった一人の女性に頭が上がらずにいた…



「だから〜私の名前はシスとか言う名前じゃないわ!私は『ひめ!』こんな場所で油を打ってる暇なんてないんだから!私には、このあと大事な予定が控えているんだから…」



自分の名前をヒメと名乗る女性は、後ろから追いかけてくる魔王ラビタスを振り払う様にラビタスの城『モスク城』を逃げ回っていた。



「シスのやつメチャクチャ足速いな!何より全然捕まらない…しょうがない!アレを使おう…」


シスとの対話を望んだ結果、一旦逃げ回る彼女を捕まえる事を選んだラビタス。しかし…シスの身体能力の高さに翻弄され、逃げ回るシスを捕まえられずにいた…


そんな中、ラビタスはとある作戦を閃いていた!



『ピッタ!』


逃げるシスとは対照的に、突然その場で立ち止まってしまったラビタス…


そんなラビタスは徐に、地面に両手を当てがった…そして、唯ならぬ魔力をお城の廊下に放出した…



「鬼ごっこはもう終わりだシス…!」


『クワグマイヤー!!』



『どヨーーん』次の瞬間!シスが逃げ回っていた廊下全体が沼地に変貌を遂げてしまった。


「ちょ!何これ!脚がもつれる…うぅ…ダメぇ……動けば動くほど下に沈んでく…」


泥沼と化しか廊下に脚がもつれ、どんどん地面の底に沈んでいくシス…そんなシスに対して自身の魔法が成功した事により自分自身の魔法能力の成長を実感するラビタスであった。


「俺はこの1ヶ月ただ泥人形を制作していた訳じゃない…ちゃんと爺の指導の元、泥魔法も一から会得していたんだ!凄いだろ!!」


「……」


『イラッ』


シスは、ラビタスの言っている事は一切理解出来なかったが、無性にラビタスの言動が鼻についていた。



「よく分かんないけど、アンタのその言動も…今、私が泥まみれになってる状況…ほんとムカつく…何より今すぐにアンタをぶん殴りたい…」


シスのイライラが頂点に達した時、シスの周りから黒い渦の様な波動が一斉に噴出された…


『グルグルグルッ〜!!』


シスから放出された謎のそれは、ラビタスが変化させた拘束能力のある沼を一瞬で元の地面に逆戻りさせた…


「………」


「えぇーーー!?嘘だろ!?」



「よし今のうちだわ!」


『ドドドド………』



シスが起こしたこの現象に、驚きの余りただただその場に立ち尽くすしか無かったラビタスであった。



「一体何が起きたんだ…」 


『!?!?』


「…所でシスは!?」



現実世界から転生したばかりのシスが放った謎の魔法に呆気に取られていたラビタスは、捕まえる寸前であったシスを見失ってしまっていた。


シスを捕まえ損ね、あたふたしているラビタスの前に城内で起きた爆音を聞き付けたラビタスのお世話係であるチブーが血相を描いて駆け寄ってきた…


「ラビタス様〜!?一体何が起きているのですか?」


「やられたよ!!シスに一杯食わされた!アイツとんでもない力を秘めていたんだ! せっかくチブーに教わった拘束系の泥魔法もシスが突如放った黒い渦に無効化されてしまったんだ…」


「黒い渦…魔法を無効か…」


ラビタスの説明を聞き、数秒ほど考え込んだ物知りなチブーはある一つの答えを導き出した!


「…それはきっと、世にも珍しい闇魔法に間違いないでしょう!何より闇魔法の特性に『吸収』という魔力や他者自身を取り込む能力が御座います。そのシス様と名付けられたゴーレムの闇魔法によりラビタス様の泥魔法を吸収されたのでしょう!」


「闇魔法?…吸収?闇魔法ってそんなに凄い魔法なのか?」



「えぇ!扱える者としましては、大きく分けて2パターン御座います。一つ目は、各魔王様の眷属である魔物と少数の限られた魔物のみ。そして二つ目は…」


「魔人族です!」


「…なんか凄い響きの種族だな!」

ラビタスの突拍子もない発言に、若干呆れた口調で無知なラビタス魔人族の説明を説いた。


「それ…貴方様のことですよ!」


「え!?俺の事!?」


「はい!その通りです。魔人族とは、普通の人間には扱えない魔物の魔法を扱える人間のこと!そんな魔人族へと覚醒する人間の特徴は、心の闇です…」


「こころの闇…」


「そうです…そして、人間に宿った心の闇が増幅し邪悪の神と共鳴した者が初めて魔人族としてもう一度この世界へ転生するのです」


「勿論、貴方様もその一人です!!」



「そう言えば昔、俺が人間だったって説明してくれたよな?」


「よく覚えていましたね!流石です!何より、魔人族の特徴は元人間と言う事だけではありません。最大の特徴は、闇魔法が扱える様になる事です!」


「闇魔法とは、魔人族になる為に契約した邪悪の神が扱える魔法なのです。そんな邪悪の神と共鳴し、神の眷属になった者が扱える特別な魔法が闇魔法なのです」


「そして、ラビタス様が魔人族となり所得した闇魔法と岩魔法を融合して作られたのが泥魔法になります」


「泥魔法ってそんなに複雑な魔法だったのか!」


「そうなのです!泥魔法を含めゴーレムをお造りになられたラビタス様は天才なのです!!」


泥魔法の凄さに改めて驚くラビタスに、何故かチブーが鼻高々になっていた。


「そんな、ものすごいラビタス様に敬意を込め、周りが魔王と呼ぶ様になったのが魔王ラビタス様の誕生秘話なのです」



「なるほどな〜また一つこの世界について賢くなったよ!ありがとう!」


「どういたしまして!」


『!?』


ラビタスに褒めれ浮かれていたチブーを見つめていたラビタスは、直ぐに脱線してしまったこの話の本題を思い出した。


「そう言えば、シスの魔法の秘密はどうした!?」


「おっといけない…私とした事が褒めらた喜びに歓喜する余、この話の最大の山場を言い忘れる所でした…失敬失敬…ゴッホん!それでは気を取り直して説明させてもらいます…ラビタス様が召喚したその女性の正体は…」


「新種の魔物の可能性が高いです!」


「新種の魔物だって!?シスは俺の泥魔法から生成した泥人形と賢者の石が混ざり合ったゴーレムのはず!」


「…ラビタス様、よく思い出して下さい。彼女は一回死んだ…そして、もう一度この世界に転生した…」


「転生…それならシスは、俺と同じ魔人族なんじゃ?」


「その可能性もゼロでは無いですが、そもそも魔人族は人間が魔物の力を手にして転生した存在…シス様はの逆で、泥人形が人間の力を得て転生した存在…」


「もしかしたら、彼女は第3のゴーレム…新種のゴーレムなのでは無いですか?」


この世界の秩序を理解しているチブーの見解を聞き、ラビタスはシスの存在について自身の頭の中で咀嚼し、一つの結論を導き出した。


「…シスのあの美しい容姿・人間の様な言動…まさに特別な存在… そして、彼女の性格は俺が理想としたゴーレムとは少し違いはあるものの、彼女はまさしく俺の妻になり得るゴーレム…そう彼女こそが…」



「新種族…ラビ・ゴーレムに違いない!!」



ラビタスは高らかに自分が創造した新たな種族・新たなゴーレムをラビ・ゴーレムとして名付けを行った!!



「…所で、シスは一体どこに消えてしまったんだ…この広い国の中でシスだけを探し出すなんて至難の業じゃないのか?」


ラビタスはゴタゴタしていた状況に一旦区切りをつけ、取り逃してしまったシスの捜索に意識を切り替えた…そんな悩み事が絶えないラビタスに対して物知りなチブーが適切なアドバイスをラビタスに送った。


「それはとても簡単な事です!!シス様の存在を願えば自然と彼女の場所がラビタス様の心の中に見えて来るはずですぞ!」


「そんな簡単な事で、シスの場所が分かるのか?」



「はい!勿論ですとも!この前も説明させてもらいましたが、ラビタス様から造られた我々ゴーレムはラビタス様と意識を共有するが出来ます。それは、全てのゴーレムは貴方様の魔力から生まれているからです。それは、シスさまも例外でありません!」


「その為、今この場でラビタス様がシス様の自分に似た強い魔力を感じ取れればそれがシス様なのです!」



「…なるほど!シスは俺の魔力が宿った泥魔法で出来てるから、それを感じ取れれば彼女の場所がわかると言う仕組みなんだな!?」



「その通りです!」


「それなら、早速その方法を教えてくれないか?」


「承知しました!では、探知の方法をお教えします…その方法は、魔力を込めながらシス様の顔を思い浮かべるだけです!!」



「…それなら俺にも出来そうだ!じゃあ!早速やってみるよ!」



早速、ラビタスは爺に言われた通りにシスの事を思いながら、自身の魔力を丹精込めて練り上げた…

そして、次の瞬間…



『シューー……ピッかん!!』



「………」

「何だ!このイメージは!?」

「…うん?…巨大な扉?…大きな穴…これなんだ?」




ラビタスが感じ取ったシスの現在地に関するイメージ映像の話を元にチブーは直ぐにとある場所が頭に浮かんだ!


「ま…まさか…『デーモン・ゲート』へ向かっているのでは…」



「爺!?どうかしかのか!?それにデーモン・ゲートってなんなんだ!?」

普段冷静なチブーが見せた動揺した姿にモスク城に一瞬、緊張が走った。



「シス様とは一体何者なんでしょうね…いや…すみません!余計な事を言いました…」

「シス様が今向かわれているのは、『デーモン・ゲート』と言いまして、地底に存在する我らの王国タイタンから唯一地上へ移動出来る入り口の事です!」



「地上への入り口…シスは地上になんの目的が…」


「………」


( 待てよ…シスと別れる前に、シスはこの後に予定があると言っていた…しかも自分の事を『ひめ』と呼んでいた… もしかして彼女は、地上にある国のお姫様の生まれ変わりなんじゃ…)



ラビタスは、一連のシスに関する出来事を脳内で一旦整理し、一つの結論を導き出した。


「…シスに関する謎は増える一方だけど、シスの目的が地上にある事は間違いなさそうだ!俺は今からその場所に向かい彼女と対話をしたいと考えている…だから爺!俺にデーモン・ゲートの場所を教えてくれ!」



「了解しました!それですと、この城からひたすら北東に向かって下さい。 ひたすれに道を進めば天井に巨大な扉が見えてきます。それがデーモン・ゲートです」



「助かるよ爺!じゃあ早速シスを迎えに行ってくるよ!」



「お気を付けていってらっしゃいませ…私も取り急ぎ現場に向かいますので、私の事は気にせずに急いでシス様の元へ向かって下さい。シス様がゲートをこじ開ける前に…」



ラビタスはモスク城でチブーと別れると、城外の広場で自身の泥魔法でオフロード用のバイクを製造し、その茶色いバイクに颯爽と跨った。



「よし!待ってろよシス!今からお前を迎えにいってやる!」


「お前とはこれから話したいことが山ほどあるからな…待ってろよ!シス!!」


『ブォーーん!』



かくして魔王ラビタスは、自身が作り上げた最初のゴーレム『ラビ・ゴーレム』のシスを迎えに地上への入り口『デーモン・ゲート』まで彼女を迎えに行く事を強く願い、強固な使命感の元に泥のバイクを走らせた…



ー この出来事をきっかけにラビタスは、ある物を失う…そして、新たな二つを得る。この出来事がラビタスの物語を大きく加速させる事になる…


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