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45.1943年12月8日正午頃~トラック東方海上

 アメリカ中部太平洋艦隊は、レーダーで120キロ南方に日本艦隊をとらえていた。18隻の空母の艦載機1200機のうち、ヘルダイバー260機、アベンジャー180機、ヘルキャット320機が艦隊前方を進撃していた。スプルーアンスは、前方の艦隊は、イギリス艦隊の言うところの戦艦部隊であり、別に空母部隊がいると考えたので、全力出撃は控えさせた。艦隊上空は、ヘルキャット120機がカバーしている。


 米軍攻撃隊760機を迎え撃ったのは、ゼロ戦隊の総力100機あまりであった。大鳳のゼロ戦隊長岩井中尉は、後ろの一飛曹に声をかけた。

「敵は必ず2機が組んでる。連れの動きに注意しろ。」

戦闘機同士は、3000メートルの空域で激突した。ヘルダイバーは空母ごとの編隊に分かれてその上を、アベンジャーはその下を通過していった。最高速度も旋回性能もゼロ戦が優っていたが、一度に4機以上を相手にする場面も生じた。ヘルキャットの12.7ミリ6丁が一斉に火を噴くと避ける隙間もないように見える。ゼロ戦の機体は、恐ろしく頑丈だ。12.7ミリでは貫通できない。手ごたえあり、と米軍パイロットが思った次の瞬間には後ろを取られ、20ミリの洗礼が来た。ダイブで逃げる戦法は通用しないと気が付いた時には、100機以上が撃墜されていた。しかし、各所でチームでゼロ戦を追い詰める場面も見られた。振り切ろうとして、海面に激突するゼロ戦も出た。15分ほど経過して、ヘルキャットには400発を打ち尽くし、母艦に引き返すものも現れた。ヘルキャット部隊は200機あまり、ゼロ戦は31機を失って、それぞれ母艦に引き返していった。


 ヘルダイバーを操縦するアンダーソン曹長は、前方に敵艦隊を捉えた。戦艦が4、巡洋艦も4、駆逐艦が何隻か。

「よし。デカブツをやるぜ。」

 そういって、急降下位置に入ろうと思った瞬間、彼の機体のプロペラが吹き飛んだ。戦艦部隊の12.7センチ連装高角砲20基、重巡の8センチ連装高角砲16基が火を噴き始めた。一分間に12発は打てるが、目標を選んで撃つとそうはいかない。しかし、高角砲要員も、朝のイギリスとの戦いで、爆撃機は列をなしてくることを学んでいたので、ほとんど砲身を動かさず連射していた。結局、260機のヘルダイバーのうち、900キロ爆弾を投下できたのは、20機あまりで、命中は、大和1番砲塔前と、愛宕の煙突に落ちたものの2発だった。

 一方、アヴェンジャーは、それぞれの母艦部隊別に、艦隊を包み込むように迫っていた。まず、立ちはだかったのが、戦艦、重巡の零観隊20機である。アヴェンジャーの後部旋回機銃を避けつつ、7.7ミリ機銃2丁を浴びせてきた。旋回性能をいかし、繰り返す。但し、艦隊の6000メートル内に近づくことを厳禁とされており、やがて身を翻したとき、アヴェンジャーの隊列は乱されていた。6000メートルで、長門、陸奥の14センチ砲40門が吠え始め、3000メートルで無数の25ミリ機銃が火を噴き始めた。魚雷を放つことができた機体は10機に満たず、しかも帰途を零観に襲われ帰還できたものはいなかった。しかし、一発が、煙突への爆弾直撃で隊列から遅れ始めていた愛宕の船尾に命中し、愛宕は完全に停止し、船尾からゆっくりと沈み始めた。


 旗艦アイオワが先導し、ノースカロライナ、ワシントン、サウスダコタを従える第一戦艦部隊とニュージャージーが先導し、インディアナ、マサチューセッツ、アラバマを従えた第二戦艦部隊は、それぞれ重巡6隻、駆逐艦20隻を伴って、敵戦艦部隊を挟み込むように進路を取っていた。護衛空母は、100キロ後方の空母部隊との間にまで下がっていた。アイオワのレーダーは、70キロ南方の敵戦艦部隊のほかに、東方100キロ付近に別の艦影を発見していた。

「敵空母群発見。」

 後方の空母部隊に連絡すると、敵戦艦部隊への突撃の準備に入った。


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