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27.1943年8月1日~レッジョ・ディ・カラブリア

 アドルフ・ガーランド少将は、イタリア半島のつま先にあたるこの地に建設されたコンクリート製滑走路を持つ空軍基地で、Me262戦闘機部隊JV44の訓練を行なっていた。アフリカの米英軍の増強が見られるので、上陸作戦が近いのではないかと考えられた。


 この戦闘機部隊にはエースクラスが集められた。東部戦線から、ラル大尉、ノヴォトニー大尉、バルクホルン中尉、バッツ中尉などが参加し、西部戦線からは、グラーフ少佐、フィリップ少佐、ハフナー軍曹などが参加した。東部戦線のハルトマンが来てくれなかったのが残念だ。


 JV44には、Me262が約60機配備されていたが、常に点検整備が必要な機体であるため、稼働可能機は40機前後である。これでも随分良くなったと、ガーランドは思った。とにかく難しい機体である。高速なのはいいが、急激なスロットル操作は失速を招き、回復させるのが容易ではない。離着陸は、下が見にくい構造あって、事故が起こりやすい。当初、重爆撃機の迎撃用として考えられていたので、30ミリ×4門と重武装であったが、しかし、初速が遅く、直進性が悪いので当てるのが容易でない。


 そこで20ミリ×4門に変更したが、重量バランスが変わるため、調整に時間を要した。しかし、この変更で、携行弾数は350発から500発となった。滞空時間を考えると、十分な数だろう。実際、訓練がてら、シチリア南部にやってくる連合国軍機と戦わせているが、単発機は20ミリでも一発でお釈迦だ。エースクラスを集めたので、慣れてしまえば快足を武器に暴れ放題である。


 シチリアにやってくる連合国軍機は一時期かなり減っていて、シチリアに基地のあるドイツ、イタリア空軍機は、チェニジアに遠征していた。しかし、最近、チュニジアの敵機は急速に増加しており、へたに乗り込むと、数で圧倒されるようになっている。では、JV44がシチリアに進出してはどうか、という意見もあるが、いまさら滑走路のコンクリート舗装していては間に合わない。


 Me262の信頼性は実証されたので、レーダー装備の夜戦型や、対爆撃機用兵器を装備する迎撃機型などの開発が進んでいる。近くあるであろう連合軍の上陸作戦で、こいつらはどのくらいやってくれるだろうか。シチリア南部に訓練飛行に出撃して、連合軍機に出くわした連中は、上機嫌で帰ってくるが、空振りに終わった連中は機嫌が悪い。高度を落とさず一撃離脱を繰り返す戦法は、大分身についてきた。いつでも来い。ガーランドは思った。

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