11話 ニュクスのスキル
ついにこの日が来た。
私の全てが決まる決定的な特別な日。
天賦を授与させられる日である。
「ガイアお兄様。待っていてください。すぐに、すぐにそちらに向かいます」
「ニュクス様。ガイア様を模倣して作ったガイア様の髪の毛版藁人形に土下座しないでください。控え目に言ってクソキモイです」
「ミラ、私以外の下に就いたら貴方、極刑よ?」
「ニュクス様だからこの態度なんですよ」
「⋯⋯バカにしている?」
「いえ。いえ」
何か弁明はないのだろうか?
教会へと移動してスキルを授かるのを待つ。
出来ればガイアお兄様の役に立つようなスキルが良い。
むしろそれ以外要らない! めっちゃ要らない!
お願いします神様神様スキル様〜ガイアお兄様の役に立つようなスキルをください!
頼みますぞー。
「ニュクス・ギリアの天賦は⋯⋯ッ! せ、生産系」
⋯⋯ッ! これは絶対に立つ! 教皇の反応が怖いけど!
「固有天賦、【天使悪魔創造】であるようです」
なんか凄そう。
頭の中にどのような力なのかが流れて来る。
⋯⋯あれ? これえげつないスキルなんだけど。
「ふん。生産系か。くだらん」
家の女性は陛下の援助を受けていない。
剣ではなく頭の方を強くする為の教育を受けさせられているのだ。
だから陛下の怒りを買うことは無い。
後は隙を見てこんな所から脱出してガイアお兄様の下に向かう。
待っていてください愛しのガイアお兄様。
ぐへへ。
バカの興味も無くなった。
許嫁、政略結婚の縁談の話も無い。
勝った!
そう、思っていたんだが、全てが崩されそうになる。
「ニュクス、そのスキルをここで使えって見ないか? 全身から光が出て来た所から、スキルの使い方が分かるんだろ?」
畜生が。クソ兄がこんな時だけ頭をキレッキレにすんなよ。
あークソクソ。
スキルは手に入れた時に、全身から光を放つ時がある。
その場合はスキルの能力を頭に流し込まれるのだ。
ここは平等で良いと思う私が居る。
さて、どうしたもんかな。
「すみません。お兄様。私のスキルは今は使えないようです」
「そうか。いつなら使えるんだ?」
「使用条件がとても特殊で、当分使えません」
「そうか。分かった」
私の言っている事は事実だ。
ここでは使えない。でも、流石にこの条件はおかしいだろう。
ま、普通なら使う機会のなさそうなスキルだったけど、この国に居残るなら使う機会は増えそうだね。
ま、さっさと逃げるけど!
夜になり、私は荷物を纏めた『マジックストレージ袋』に全ての道具を詰め込む。
ベットとかは大き過ぎて無理だった。
大きな扉を開けて廊下に出ると、ミラを中心に複数の使用人が居る。
ガイアお兄様のお世話をしていた人。専属執事。料理人。料理長まで居たよ。
ガイアお兄様に忠誠を捧げていた騎士。騎士団長は来て良いのか? むしろ来るなよ。
「ニュクス様。どうして我にそんな目を向けるんですか?」
「いえ、何も」
女性の騎士団長。家の騎士団の中では唯一無二の団長だ。
使用人の中に【隠蔽】のスキル持ちが居るので、気配を成る可く消して貰う。
それでもこんな集団で動けば気づいて来る父親と兄が居る。
この2人は運良く陛下に呼ばれているのだ!
最っ高だね!
外に出て海辺に向かうとゾロゾロと裏路地から出て来る人が居る。
生産系スキルで配給品などが貰える対象に無い人達だ。
バカの信者になると家族でも生産系は悪となって追い出された人も居るだろう。
教会の人は特定のスキル、戦闘系でも生産系でも無い系統のスキル持ちが入れる。
ま、今は関係ないけど。
本当なら、ガイアお兄様なら植民地で困っている人達も全て連れて行くと思う。
だけど、流石にそこまでは出来ない。
国民だけでもかなりの人数が既にいる。
ゾロゾロと集まり、全員で城壁を出て、海に向かう。
海には他国にある商業ギルドの運送業者に頼んでいる。
【隠蔽】が使える使用人に頑張って貰った。
こんなクソみたいな帝国にも協力してくれる商業ギルド、私はそれを忘れない。
「す、すげぇ人数だな。本当に客船2桁必要だったよ」
「この度は我々の移動に協力して下さり、感謝致します。このご恩は、いずれ、必ず返します」
「はは。まさかあの国にもこんな反抗的な人が居るとわな、ってギルマスも笑ってましたよ。ささ、順番に乗ってください」
「感謝致します。騎士の人は最後に、家族連れを最初に乗せてください! 子供も優先的に! 焦らずゆっくりと確実に乗ってください」
「で、どこに向かうんですか?」
「ええ。地図にはないんですが、この辺りです」
「⋯⋯ここ、ですか?」
「はい。そうです。島も何もないように見えますが、ここに用があるんです」
「いや、そこは新たに島が発見された場所だ。ただ、よく知っているとびっくりしてな」
ま、そうだよね。
新しい地図の更新すら出来ない現状が我が帝国だもんね。
ま、いくら国民の大半が消えても、気づかれないかもね。
私や優秀な人も消えるから気づかれるかな?
ま、いいや。勝手にどっかに戦争しかけるでしょ。
「貴女で最後ですでよ」
「よろしくお願いいたします」
「ええ。元々我々も行く予定でしたしね。ガイア殿が居る場所にしゅっぱーつ進行!」
い、今。今この運送業者のおじさんなんつったあああ!
聞かせろ! 1から10まで知っている事を全て吐き出せええええ!
と、まぁ言いたい所ですが、ミラ以外の人がいる手前止めておきましょう。
あぁーあぁーガイアお兄様の匂いが欲しい。
「ニュクス様、耐えてください」
「分かってるわよ!」
小声で話す私達を不審がる人は居ない。
「あの、ニュクス様のスキルって何でしたか?」
「ん? アンジュオグルジェネシスって言う、天使と悪魔を創造出来る力だった」
「⋯⋯ッ! そ、それ、生産系って収まって良いんですか?」
「さぁね。ま、条件的に使う機会ないでしょ」
そう、私は思っていた。
まさかガイアお兄様の力と組み合わせる事が出来ると、一切思っていなかった。
そして、大勢で行く事により、一気にガイアお兄様の島、そしてこの世界の文明は発展して行く事に、この時の全ての人は想像もしていなかった。
ただ、今は、皆思っている。
(この船荷物が多い)
と。
あぁーガイアお兄様ああああああ!
◇
「どったのガイア?」
「なんか今日1日ずっと寒気がするんだよね」
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