1話 島流しにされた
天賦、誰しもが平等に15歳に神から与えられる特別な力。
人は望む天賦を得る為に15歳までにスキルにちなんだ努力をする。
だが、本当にそれは意味があるのだろうか?
僕の家は公爵家だ。
実力主義であり、実力が全てのこの帝国で、僕の家は陛下にとても気に入られていた。
父のスキルは剣豪。
歴史に名を残した剣士のスキルは剣聖。
剣聖の上を行くと言われている剣豪のスキルを持つ父の子供に色んな人は期待した。
僕の兄は見事に剣豪を引き継ぎ、剣の才能は無かったが魔法の才能はあったようで、姉は火炎魔術、水氷魔術の天賦二双もちで、魔法系のスキルの中でも上位の魔術となっている。
そんな2人は僕の事が嫌いだ。
毎日のように影での嫌がらせを受けて来た。
そんな上2人を持つ僕も多方面から期待された。
しかし、僕は期待に応える事が出来なかった。
いくら剣の努力を積もうとも剣の実力は伸び悩み、魔法を行使する為の魔力も少ない。
だけど、せめて戦いに使えるスキルさえ、スキルさえ手に入れば、今の状況も変わる筈だ。
僕の成長に見切りを付けて居ないものとして扱って来た父。
僕をゴミとして扱って来た僕の産みの親であり父の正妻。
僕をストレスの発散用の道具としか思っていない兄と姉。
「ガイアお兄様、頑張って!」
唯一、僕に変わらず接してくれるのは双子の妹、ニュクス。
僕の他にも数人スキルを今日授かる。
妹は数日後だ。
男と女で分ける男女区別の思想がここでは取られている。
「ガイア・ギリシャに天賦を授ける」
神の代弁者、教皇が僕の貴族名、苗字と合わせて僕の名前を言ってくる。
緊張で喉がカラカラだ。
これで、僕の人生は変わるんだ。
変わってくれ!
僕は祈りと共に目を閉じた。
「⋯⋯ふむ。固有天賦──」
⋯⋯ッ! きった!
ユニークスキル、その人だけの特別な力。
僕が神の事を不平等だと思う瞬間! だけど、今はそれに感謝だ!
僕の天賦授与に集まった会場の人達もざわめく。
僕の貴族家、ギリシャ家に期待を寄せている陛下もだろう。
「【フロンティア・マスター】⋯⋯生産系と言う事です」
固まった。全てが崩れる。僕の中で、何かが崩れる。心か? 分からない。
ただ、分かるのは、僕はタダでは済まない。
陛下はギリシャ家に期待して、援助をしてくれた。
それも莫大な。
父も陛下の援助は自分の肥やしに出来ないのか、僕にきちんと使ってくれていた。
そんな陛下の期待を、期待を、壊してしまった。
数日後、僕はスキルの事を確かめる気持ちの余裕がなかった。
牢に囚われ裁判の日まで待つ。
この国の裁判は陛下が直々に判決を下す。
本来なら、弁護人に協力を仰げるのだが、今回は無い。
何故なら、今回僕を訴えた原告は陛下、本人なのだから。
法廷に運ばれる。
だいたい分かっている。僕は死刑だ。
「ガイアお兄様!」
「黙れニュクス」
「⋯⋯ッ!」
父に黙らせるニュクス。
それで良い。ここで無理に叫んだり喋ったりすれば不敬罪に当たる。
初めてだ。父に感謝したのは。
家族の方を見ると、どうでも良さそうな母の顔。嘲笑っている兄と姉の顔。もう、何も感じていない父の顔。心配する妹の顔。
「罪状など不要だろう。お前に言い渡す。本来なら、我が貸した金を今すぐに返却させたい所だが、本人には支払えないだろう? 我が金を投資したのはお前自身なのだからな。いくつかの罪はあるが、自分でも分かっているだろ?」
「返答を許可する!」
裁判長にそう言われて僕は小さく「はい」と答えた。
「貴様に死刑は生温い! 貴様を島流しの刑に処す!」
島流し、か。優しく見たら国外追放だな。
実際は島に行き着く可能性は低く、船の上で死ぬか、海の魔物に食われるか、逃げて泳いで死ぬか。
じっくり孤独に死ぬ。それが島流しの刑。
そうか、僕はじっくりと死ねと、言われたのか。
それから時が経ち、僕は何かをする気力も無く、無人の心もとない船に乗せられ、船の下にある魔石を作動させて動き出す。
僕を見送りに来てくれたのは、ニュクスと僕の側仕えと数人の使用人だった。
「はぁ。⋯⋯神のクソ野郎」
1番の不幸は、あの帝王なのかもしれない。
それから何日経ったのだろう。
腹が減った。
ニュクスが勝手に僕に預けてくれた食べ物をかじる。
僕は生きる事を諦めた訳じゃない。
ニュクスがした事は犯罪だ。罪人に施しを与えるなど。
だけど、とても嬉しかった。
暖かった。
僕は、生きる。
その為にも僕に与えられたスキル、フロンティア・マスターを発動させないと行けない。
だけど、発動しないのだ。
いくら叫んでも。
叫ぶだけ口の中の水分が抜けて行く。もう、今ではただ揺らされるだけの人生だ。
「!」
そんな揺れている日々が終わった。
僕は仰向けで空を見ていた。
しかし、視界に緑が入ったのだ。
立ち上がり、後ろを見る。
そこには、自然が広がっていた。
陸が、あったのだ。
僕は、助かったのだ。
「いや、まだ助かった訳じゃない。貰った食料を切り崩してもあと、2日。どうにか食料と水分の確保、今は夏だけど夜は冷える。体温を守る事を考えないと。フロンティア・マスターが使えたら」
太陽の位置的にまだ朝だ。
・フロンティア・マスターの起動を開始します。
「え」
僕の目の前に、半透明の板、だろうか?
そんなのが現れた。
・基本設定を開始します。
・名前──ガイア、決定します
・場所を把握します。
・最初の開拓地、無人島。
「え、ちょま」
もしも、それが本当なら、ここは無人島!
そんなの、最悪じゃないか。
・フロンティア・マスターのダウンロードを開始します。
・終了まで後2秒。・2 ・1 ・0
・フロンティア・マスターを正式に起動します。
・困った事があれば「ヘルプ」か「ガイド」と及び下さい。
「何が、起こって」
・名前:ガイア(マスター)
・クラフトポイント:1000
・建造ポイント:2000
・獲得ポイント:10
・住人:0
・クラフト可能:畑(30)小屋(100)井戸(50)焚き火(50)寝袋(100)
・以上
「これは、一体なんなの?」
・フロンティア・マスターのウィンドウです。
「ウィンドウってなんだよ! 訳分かんないよ!」
だけど、このままだと何も始まらない。
まずは質問だ。1から10まで答えて貰うぞ!
・はい。
・まず、フロンティア・マスターとは開拓の主と言う意味でございます。
・開拓場所はここ、未開拓の無人島でございます。名前は分かりません。ただ、人が生息していないだけしか分かりません。
・クラフトポイントとはクラフトが可能なアイテムを作るためのポイントです。
・建造ポイントはクラフトとは違い、生物を作る為のポイントです。初回ボーナスとして1000ポイントをお渡ししております。
・100から1000の建造ポイントを使う事で建造可能です。
・ポイントが多ければ多い程良い人材が造れます。
・物を消費すれば、その物にちなんだ人材が造れやすくなります。
・クラフト可能は作る事が可能な物です。
・クラフトポイントを消費して作れます。
・建造された人や住人よって作れる物が増えて行きます。沢山人を集めましょう。
・住人が増えると褒賞としてスキルが与えられます。
・獲得ポイントは0時に得られるポイントです。
・住人の数が増えると貰えるポイントが増えます。
・最後に、このスキルで沢山人を増やして開拓して下さい。
・ヘルプである私は如何なる時でも貴方を助けます。
・出来ればさっさと住人を集めて私を強化してくれるスキルを与えられるように頑張って下さい。
「⋯⋯良く、分からない」
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