第参話:衝撃
この辺までが前置き。
どうやら俺は小説の中の話と思っていた異世界へ、呼び出されてしまったようだ。
それだけならまだいいんだが…………
「ちょっと、お前!聞いてるの?」
……コイツだ。
「ったく、うるせぇな!
急に訳わかんねえとこ呼び出しといて、いきなりキスしろってどんな意見だ。」
この世界はどうやら16歳に成る年――ここでは成人だそうだ――その歳で契約者を呼び出さないといけないらしい。
で、その契約法がキスだとさ、なんかなかったか?そういうの。
まぁよくある話ではあるが。
「口付けの契約がイヤなら、他の手もあるけど。」
「どんな手だ?」
「一発やるのよ。」
……………あほか……
「断る。」
「じゃあどうやって契約すればいいのよ!」
知らねぇよ、だいたい契約しちまったら最後、呼び出したやつが契約解除しない限り解けることはないときた。
「ようは家来になれってことじゃねぇか。」
「いいえ、下僕よ。」
「……………。」
あきれるよ、まったく。
「……ところで、お前、俺の質問に答えろよ。」
「お前じゃない。
炎珠の真手、煉火よ。
で、質問ってなんだっけ?」
…………コイツ……。
「ちゃんと答えろよ?
誰ってのは今聞いたからいいとして、ここは何ていう惑星で、何ていう国のどこだ?」
「いっきにしゃべんないでよ、こんがらがるから。」
やっぱりアホだコイツ。
「まず何ていう銀河系で星の名は?」
「ライザニア銀河のマージア星よ。」
聞いたことねぇな。
「この国の名前は?」
「マージア国よ、まぁ外れの地方だけど。」
「星に国は何個有るんだ?」
「3つでしょ?何言ってるの?」
当たり前のように言ってくれる。やれやれ。
とりあえず自己紹介がまだだったな。
おれの名前は紅善蒼魔。
出身地、地球の日本、大阪。
だが、しゃべり方は標準語?に近い。
で、さっきからあほ発言丸出しのこいつ。
炎珠の真手、煉火。
どうやら俺をこっちの世界に呼んだ張本人らしい。
俺を面倒事に巻き込みやがって。
「んで?」
「え?」
「俺を元の世界に戻せよ。」
「……あの〜、」
「………なんだ?」
いやな予感がする。
「呼び出す方法は習ったんだけど、還す方法、習って無い。」
「っっ、なんだとおおおおおおおおお!?」
長々と引っ張ってすいません。