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3話 オッサン来襲

 地獄の下層・そこは地獄だと言われても、誰も信じないだろう。

青空が広がっていて、大地には、緑が、家が、住人がいる。そこのとある城にて、執事服を着た老齢の悪魔が、城の主に声を掛ける。


「タリオン様、アドラ様が、お見えになりました。」

「あぁ、分かった。今いくぜ。」

「....その姿でお会いに?」

「もちろん!サタン様にもこの姿で、会おうと思ってるんだ。」

「はぁ~..また、お怒りを受けますよ。」


 執事の言葉に返事を返さず、部屋を出て客室に向かう。タリオンは、客室の扉をノックもせず乱暴に開ける。


「よぉ!アドラ!!もう幻覚は、解いていいのかッ!?」


 アドラは、上半身は人間の胴体。下半身と顔は、馬の姿をしている。地獄で宰相の悪魔である。アドラは、タリオンの姿を見て、目を見開いた。


「...あぁ。それとは、別の報告もあって来たのだが...サタン様にその姿で、会うのだろう?その時は、教えろ。面白そうだ。」

「ククッ。だろ!?もちろん教えてやるよ。」


 タリオンの右手から、書物が現れ、開いて頁を破り燃やした。

「また会える日が、楽しみだ。」と言ったタリオンの姿は、ルシスの姿をしていた。






_____________________________





 

 精神的に疲れた。ここ一ヶ月、眠気と食事の欲求も無い。歩いて、歩いて、ひたすら歩いてた。頭の中で地上が、おれを待っていると暗示をかけ、時には、ズーにも八つ当たりして電撃を喰らいながら歩いた。そして今も、歩いていると突然、目の前に門が現れ...






『ルシスッッ!!!今すぐ、門を走り抜けッ!』

「待て、待て。そう慌てるでない。大精霊よ、ちと過保護が過ぎるのでは、ないのか?」


 いきなり現れたッ!?なんだこいつは?白いシャツに紺のジーンズ、グレー色のオールバックで、口ひげと顎鬚を生やしている。ワイルドな見た目に反して、口調が爺さんで違和感が半端ねえ。

普通のオッサンて感じの見た目で、威圧感もないのに、頭ん中が、本能が恐れている。死の匂いがする。歯がカチカチ言って、体が震えて動けねぇ...ダメだ、殺される......





稲妻の光線(ライトニングレイ)

 ズーは、体から電撃を放出し、消えてしまう。瞬間、地面を抉りながら、閃光がオッサンへと走る。バチチチィッ!!と音を立てて衝突する。土煙が上がり.....煙が晴れると、ズーの首をつかみ受け止めていた。


「安心せえ。殺しに来たわけでない。邪魔じゃから、あちらで待っているんじゃな。」

 オッサンは、ズーを握り潰し、霧散した。


ま、待てっ!!俺は、手を伸ばし

「「あああああああッ!!キサマああぁぁぁ!!!ブッ殺ス!!」」


 天空人の象徴、白い翼を背中に顕現させる。身体に力が湧き上がる。地面を蹴り、最速で奴の背後に回り込む。

「いいのぉ、いいのぉ。感情的になるのは、若い内だけじゃて。それに四翼とは、大したもんじゃな。」


コイツは、ぜってぇ許さねえ!!余裕こいてんのも今の内だ。無防備なその背中に風穴、開けてやるよ。師匠直伝!


「「テンペストパンチッ!!」」



...なっ!?硬すぎんだろ...腕が無くなってやがる..格が...違う。

「お前さん、弱すぎじゃろ?地獄の蠅の方が、余っ程早いし、力も上じゃな。」

ッッ!?がハァっ!!何が起きた!?殴られたのか?息が苦しい.....なんだこれ?人の怨念、苦痛、負の感情が流れ込んでくる。


「ふむ、ちょっと小突いただけなんじゃがの?さて、お前さんに良いものをやろう。返したくなったら、ここの最下層まで来るんじゃな。」

「ふざ..けんなッ!て..めえは..殺すっ」

「弱すぎて、無理じゃろ?ホッホッホッ。」

«このままじゃと、堕ちるか、転生してしまいそうじゃな。»

オッサンは、ボソッと何か言ったが、聞き取れない。


 そして、俺の首根っこを掴んで持ち上げる。

「いずれ会える日を楽しみに待っておるぞ。」

「待..て..」

「地上に出れば腕は、元に戻っておる。安心せぇ。」


 そんな事、聞いてねえ。オッサンは、俺の言葉を無視して門へと放り投げやがった。覚えてやがれ!その顔、絶対タコ殴りにしてやる!......気付けば、オッサンに対しての恐怖が消えていた。

 門を通り抜けると、身体が光に包まれて、眩しくて瞼を閉じる。すると今度は、浮遊する感覚に襲われた。地上に出るんだろうな...悔しくて、悲しくて、涙が出ちまった。ズー、すまん。敵を討てなくて。______
































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